現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

プリンストン・オフェンス研究中

noteにて、シューターのためのムーブメント&セットバスケットボール・ドリルまとめを販売中。是非ご購読を。

noteでは、バスケットボール戦術相談窓口 byMBTRも開設しています。こちらも是非ご利用ください。

――――――――――――――――――

 

かつて米国バスケ界を席巻し、今なおそのコンセプトが生かされているモーションオフェンス・システムに、プリンストン・オフェンスがある。

ただし、一言でプリンストン・オフェンスと言っても、ShuffleやChinを組み込んだものや、UCLA Cutを取り入れるかそうでないか等、あまりに多くのバリエーションがあり、最大公約数的な形を提示するのは簡単ではない。

しかし今回、敢えてその困難な道に挑戦してみたいと思う。

 

多くのプリンストン・オフェンスにおおよそ共通するコンセプトを挙げていこう。

 

①4out1inの形から、フローチャート式に展開する。

②Backdoorを中心とするリム方向へのカッティングを積極的に狙い、それをケアさせた上でのオープン3Pも狙う。Flare Screenを組み込むのも一般的。

③広いスペーシングを生かし、ボールスクリーンやDHOからのRoll inやKick out 3Pも狙う。

 

こうしたコンセプトが大体含まれていれば、プリンストン・オフェンスと呼称される(自称・他称問わず…)ため、実に様々な形のプリンストン・オフェンスが存在している。

また、各チームのプレーヤーの性質やオフェンス方針に従って自由に改良していくことも許容されるだろう。

今回はあくまで、「ありがちな」プリンストン・オフェンスの"一例"を提示してみることにする。タイトルの通り、筆者はまだ「プリンストン・オフェンス研究中」であるため、この暴挙をどうかお許し願いたい。

 

Princeton Entryの基本形

f:id:ocum2013-041:20181029173208p:plain

多くのプリンストン・オフェンスは、上図の形でスタートすることが多い。

ポストマン(5)側にオフボールマンが2人いる場合は、ボールハンドラーが指示して、2人のうちの1人を逆サイドにカットアウトさせる……といった臨機応変な対応が肝要である。

 

Princeton offenseの3パターン

f:id:ocum2013-041:20181029173328p:plain

上図の通り、最初に三つのパターンへ分岐していくのが一般的である。

Ⅰ Elbow Entry

Ⅱ Wing Entry

Ⅲ Side change Entry

ここからはパターン別のオプションを概説していく。

 

 

Ⅰ Elbow Entry

 

1 backdoor

f:id:ocum2013-041:20181029173920p:plain

ハイポストへパスしたPGがバックドアを試みた後、ポストマンがパス&ピックへ移行するオプションである。

図の通り、バックドアなどでリム方向へカットしたプレーヤーは、コーナーへとSpot upするのが基本ルールである。

ポストマンのパス&ピックのケースは今後も頻出だが、いずれもDHO(Dribble Hands-off)への代替が可能である。

(DHOの基本パターンについては、現代バスケットボールの基本的な動きで解説済み。特にプリンストン・オフェンスでは、厳しいマークに対して積極的にバックドアを仕掛けることが重要視されている)

上図ではヘルプサイド・ウィングの3にパス&ピックを仕掛けているが、ボールサイド・ウィングの2にパス&ピックを仕掛けても良い。

 

1→3 away

f:id:ocum2013-041:20181029174005p:plain

パスしたPGが、ヘルプサイド・ウィングのプレーヤーにAway Screenをかけるオプションである。図のようなバックドア(あるいはリジェクト)のパターンの他、フレアやカールといったパターンも有用だろう。(Awayの基本パターンも現代バスケットボールの基本的な動きで解説している)

上図のように、ポストマンはヘルプサイド・ウィングの1、あるいはボールサイド・ウィングの2へパス&ピックやDHOを試みる。

 

1→2 away

f:id:ocum2013-041:20181029174117p:plain

パスしたPGが、ボールサイド・コーナーへAway Screenを仕掛けるパターンである。

基本的にカッティングを仕掛けたプレーヤーはコーナー等へSpot upするという原則があることを先ほど述べたが、この場合はヘルプサイドのウィングとコーナーが既に埋まっているので、図のような『ヘルプサイド・トライアングル』の形成へ移行する。(2が4にクロススクリーンを仕掛けるといったパターンも有効かもしれない)

ポストマンのパス&ピックないしDHOは、上図のように1に対して仕掛けてもOKだし、3に対してでも良い。

 

 

Ⅱ Wing Entry

 

UCLA→Flare Screen

f:id:ocum2013-041:20181029174220p:plain

ボールサイド・ウィングへパスした後、5→1のUCLAカットに移行し、スクリナー(5)へパスしてヘルプサイドへの展開を狙うパターンの一つである。

上図では4→3のFlare Screenを例示しているが、3→4のAway Screenなども十分選択肢としてあり得る。

 

Post up→Split

f:id:ocum2013-041:20181029174313p:plain

ボールサイド・ウィングにパスをした後、ポストマンがローポストへPost upし、Split Cutへのパスを狙うパターンである。(Split Cutをきちんとケアされる場合は、たいていポストマンへのヘルプが手薄なので、その場合ポストマンは1on1を仕掛ける。)

3のバックドアのようなリムへのカットを生かすため、図のようにポストマンはローポストのやや外側にPost upするのが好ましい。

図ではSplit Screenのユーザーである3のバックドアを例示したが、3が普通にスクリーンを使い、スクリナーの2がバックドアを仕掛けるパターンも十分に考えられる。(3の動きに合わせて、2はフレアを仕掛けるかバックドアを仕掛けるか臨機応変に判断するのが望ましい)

 

 

Ⅲ Side change Entry

 

Flare Screen

f:id:ocum2013-041:20181029174402p:plain

ヘルプサイド・ウィングへ展開のパスを出したPGに対して、ポストマンがFlare Screenを掛けるオプションである。

図では省いているが、もしフレアカットした1へパスが飛んだ場合、5→1のPNRに移行するといったパターンが考えられる。

 

Chin offense

f:id:ocum2013-041:20181029174503p:plain

図の通り、ヘルプサイドへの展開の後、5→1のShuffle Screenを軸にオフェンスするオプションである。

上図ではその後、5→3のFlare Screenを例示したが、3→5のAwayや、3がスペーシングしたうえで5→4のPNRなども有り得るパターンである。

 

上述したパターンをフローチャート化したのが下図である。

f:id:ocum2013-041:20181029173816p:plain

フローチャートの末尾に括弧付きで書いた通り、上述したオフェンスパターンからPrinceton Entryへ回帰することで、フローチャートを"巻き戻す"ことができる。

今回のパターンで行くと、本来ならパス&ピックに移行するところを、パスアウトからPrinceton Entry再形成へ移行することで、新たに別のPrinceton offense patternへ移行することが可能になる。

 

 

繰り返しになるが、今回記述したプリンストン・オフェンスは、あくまで数あるパターンのうちの一つの"可能性"に過ぎない。

現実に運用されているプリンストン・オフェンスを参考にしつつ、自チームに合うものを模索していくのが重要だと考えられる。

 

 

参照サイト・動画

プリンストンオフェンスとは 解説 : bball Connects

【NBA】LALに導入できなかったプリンストン・オフェンス ( バスケットボール ) - I LOVE NBA NAKのブログ - Yahoo!ブログ

Breaking Down the Most Efficient Princeton Offense in the NCAA: Richmond Spiders - YouTube

NBA: Princeton Offense Series - YouTube

Air Force Princeton Offense - YouTube

Chin Offense - Princeton offense run by high school team - YouTube

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

当ブログおすすめ記事

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

 

 

 

リンク紹介―ミート再考 / P&R passing / スモールラインナップ再考―

当ブログおすすめ記事

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

今回は、以下の三つの記事(ないし動画)を紹介したいと思う。

 

goldstandardlabo.com

日本のバスケットボール教育でよくありがちな「ボールミートでズレを作る」という思想を批判した記事である。

実際のナショナルチームの試合を取り上げており、ミートでギャップを作って攻めたプレーは少なくて、多くはスクリーンを使ったズレからのドライブであったり、ドリブルドライブやフェースドライブ(対面してからのドライブ)といったプレーが多いということをデータで示している。

 

このため、ミートでギャップを作るプレーは、あくまでごく限られたシチュエーションのプレーであり、したがってドリブルドライブやフェースドライブをきちんと想定した練習の必要性が強調されている。

 

 

 

www.youtube.com

Pick and Rollにおけるパスを細かく分類し紹介した動画である。ロールインに対するパス一つとっても、普通のパス、ロブパス、アーリーパス、レイトパス、ディープドライブ・レイトパスといった様々なパターンが網羅的に紹介されている。

もちろん、Rollへのパスだけではなく、PopやReplaceへのパスなども事細かに分類・紹介されており、PNRプレーを極めるにあたって視聴の欠かせない動画と言えるだろう。

 

 

 

college-hoops-japan.blogspot.jp

Golden State Warriorsのビッグマン不在のラインナップ(Death Squad、スモールラインナップ)を取り上げ、「サイズ自体は小さいが、ウィングスパン・スタンディングリーチ、ジャンプ力でDF力がカバーされている」という”身も蓋もない”事実が解説されている。

裏を返すと、単純なサイズよりも、腕の長さや跳躍力を加味した「トータルのリーチ」がDF力において重要であることが示唆されている。

 

 

 

ゾーンアタック(ゾーンオフェンス)の四つのコンセプト

今回は、いくつかの動画やサイトを参考にしながら、ゾーン・ディフェンスに対する攻撃方法(ゾーンアタック、ないしゾーンオフェンス)に通底する以下の四つのコンセプト(理念)を解説していこうと思う。

 

①DFエリアを制約するシール或いはスクリーン(Seal or Screen)

②ベースラインのDFを外に引き出す(Stretch DF)

③ギャップへのドライブで崩す(Punching or Penetration)

④ポジションチェンジを多用して動きで崩す(Motion / Flow)

 

※青はオフェンス、オレンジはディフェンス、緑はパス、赤はドリブル

 

①DFエリアを制約するシール或いはスクリーン(Seal or Screen)

上記に見出しで紹介した4つのコンセプトの中で、最重要の攻撃理念になる。

ゾーンDFでは、各DFがそれぞれ固有のDFエリアを持っている。

もしシールやスクリーンによって動きを制限されたら、当然そのDFの管轄エリアはフリーエリアになってしまうわけだ。

特に、2-1-2や2-3といったゾーンでは、中心のDFがリムプロテクトの要になる。この場合、中心のDFに対する適切なタイミングでのシール或いはスクリーンによってClear Outすることができれば、簡単にペイントエリアのギャップを作ることが出来る。(もちろん、3秒バイオレーションには注意しなくてはならない)

f:id:ocum2013-041:20171119184334p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184341p:plain

 

他にも、外側のDFに対するフレアスクリーンも有効だ。フレアスクリーンによって、本来の守備範囲へのクローズアウトが阻害されることによって、ワイドオープンなショットや、遅れたクローズアウトに対するカウンタードライブが可能になる。

f:id:ocum2013-041:20171119184305p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184312p:plain

 

また、ボールスクリーンをセットすることで、本来フォローすべきDFを引きはがし、他のエリアのDFを引き出して、相手のDFシフトを強制的に崩す、といった動きも有効になる。

f:id:ocum2013-041:20171119184400p:plain

 

②ベースラインのDFを外に引き出す(Stretch DF)

ゾーンDFは基本的に、ベースラインを攻めさせず(ノーライン原則)、DFの手厚いミドル方向に攻撃させて潰すというコンセプトを共通して持っている。

したがって、ベースラインのDFを引き伸ばし、そのギャップにボールを入れることが出来れば、DFの手薄なところを攻めることができ、イージーシュートが生まれやすくなる。

 

特に、①Seal or Screenの『中心DFへのClear Out』と組み合わせることによって、ペイントエリア付近でのショットを生みやすくすることが出来る。実は、①で紹介したフォーメーションは、②のコンセプトも活用されているのである。

f:id:ocum2013-041:20171119184334p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184341p:plain

 

③ギャップへのドライブで崩す(Punching or Penetration)

基本的に無策のドライブインはゾーンDFの餌食だが、DF間のギャップに入り込み、DFを引き出してパスを捌くようなドライブ(パンチングドライブ)はオフェンスの起点としてなお有効である。

 

ギャップへのドライブで二人目のDFを引き出した暁には、最新NBA戦術紹介④ Attack one-pass-away defence で解説したように、Spot up, backdoor, move behind, Flare Screenといったオプションでシュートメイクをすると良い。

f:id:ocum2013-041:20171119184352p:plain

 

ギャップへのドライブを容易にする一つの方法としては、①Seal or Screenで挙げたボールスクリーンが極めて有効であることも強調しておきたい。

f:id:ocum2013-041:20171119184400p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184418p:plain

 

また、ゾーンDFはミドル方向のDFは手厚い一方で、ライン方向(ベースライン側)のDFは手薄だ。したがって、ライン方向にペネトレイトすることが出来れば、イージーバスケットを作りやすくなる。

 

f:id:ocum2013-041:20171119184505p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184520p:plain

 

④ポジションチェンジを多用して動きで崩す(Motion / Flow)

アウトサイドはトップ・両ウィングを目まぐるしくポジションチェンジし、インサイドはローポスト・ハイポストの位置を交換しあうことで、ポストにボールを入れて、ハイロー、ローハイ、アウトサイドのダイブないしアウトサイドへのキックアウトと言ったプレーを目指すコンセプトである。

f:id:ocum2013-041:20171119184543p:plainf:id:ocum2013-041:20171119184550p:plain

適宜アウトサイドがコーナーにも入る所謂オーバーロードの形へ変化する場合も多い。

f:id:ocum2013-041:20171119184557p:plain

 最もよく知られているゾーンアタック・コンセプトであり、今なお有効ではあるのだが、非常に有効なコンセプトである①Seal or Screenの併用・活用がシステム上難しいというデメリットがある。

 

 

参考動画・サイト

Gregg Marshall Wichita State Zone Offense - YouTube

 

Best Zone Offense Versus 2-3 Zone - YouTube

 

How to Embarrass a 2-3 Zone Defense - YouTube

 

ゾーンオフェンス(ゾーンアタック)に生きる2つのコンセプト

 

追記:2017/9/2

Zak Boivertによるゾーンアタック・セット「Smashシリーズ」の解説動画を紹介する。上述の四つのコンセプトを想起しつつ見るととても参考になるはずだ。

www.youtube.com

f:id:ocum2013-041:20170902113146p:plain

スイング&サイドチェンジでベースラインDFを引出し、中心DFへのClearoutを組み合わせるパターン。

 

 

f:id:ocum2013-041:20170902113249p:plain

中心DFにダウンスクリーンをかけてClearoutするパターン。

 

 

f:id:ocum2013-041:20170902113332p:plain

スイングするプレイヤーが、スイングをキャンセルし、フレアスクリーンを貰うパターン。

 

 

f:id:ocum2013-041:20170902113417p:plain

ボールスクリーンを行うパターン。他のSmashシリーズが失敗した場合の最後のオプションとしても使われている。

バスケットボール関連のおすすめリンク

今回は、筆者がよく参照しているおすすめのサイト等を紹介したいと思う。

 

ameblo.jp

森高大・アルバルク東京アシスタントコーチ(執筆時点)のブログ。アメリカのウェストバージニア大学でコーチ修行をしていたころの記事がほとんど。どうでもいいことだが、筆者と同じ高校出身らしい。

以下、おすすめ記事の一部を紹介。

能力のないチームが能力のあるチームと戦うには

ボールスクリーンの判断ドリル

15種類のオンボールスクリーンディフェンス

実践的シューティングドリルの紹介(オフボールスクリーン)|コーチMのブログ

脳がどのようにして運動を制御しているかを知ることで、試合に生きるスキル獲得を目指す

 

 

www.youtube.com

NBAの動画を主に戦術やセットオフェンスを中心にまとめているYoutubeチャンネル。

Spurs、Warriors、Celtics、Rocketsなどの膨大なVideo Playbookを掲載しており、とても一朝一夕には噛み砕けないと思うが、現代バスケットボールオフェンスを"知る"上で極めて有用と思われる。

以下おすすめ動画を一部紹介。

Steve Kerr Golden State Warriors Playbook - YouTube

Brad Stevens Boston Celtics Playbook - YouTube

Houston Rockets Point Series - YouTube

 

 

goldstandardlabo.com

複数著者が寄稿するタイプのバスケットボール関連コラムのサイト。

戦術関連で高質なコラムがいくつかある。以下、おすすめコラムをいくつか紹介する。

【一般寄稿】ビデオセッション −VCUのプレスディフェンスの秘訣をキーワードから探る− byコーチP 

【一般寄稿】ジョン・ストックトンとカール・マローンのピックアンドロールはもう古い! byコーチP

ゾーンオフェンス(ゾーンアタック)に生きる2つのコンセプト

 

 

Advanced NBA Concepts (最新NBA戦術紹介)まとめ

mbtr.hatenablog.com

インサイドがシールしてドライブコースを作るプレー(Clearout)の紹介。

 

 

mbtr.hatenablog.com

各種スイッチDFコンセプトの紹介。

 

 

mbtr.hatenablog.com

スクリーンに合わせた逆サイドへのドライブと、ポストダブルチームに対するメタ戦術としてのコーナーカットの紹介。

 

 

mbtr.hatenablog.com

ドライブのヘルプDFに対するオフェンスオプション、各種四種類の紹介。

 

 

mbtr.hatenablog.com

ポストドライブやポストでのロールターンに合わせた、"ワンテンポ遅らせた(Late)"ポストダブルチームの紹介。

 

最新NBA戦術紹介⑤ The late post double team

Coach Danielチャンネルから、Advanced NBA Concepts part5 "The late post double team"を紹介する。
 
 
The late post double team
 

f:id:ocum2013-041:20181029123925p:plain

 
インサイドがポストでボールを持ったとき、そのインサイドのポスト1on1の開始を待って、もう一人のインサイドダブルチームにいく("late" post double team)というディフェンスである。
"late"と銘打たれたように、ボールを受けた段階や、パスを見ている段階ではダブルチームに行かず、ドライブインやロールターンに合わせてダブルチームに行くのがポイントである。
 
もしポストのボールハンドラーがまだパスを見ている段階でダブルチームに行ってしまうと、簡単に他のオフェンスにパスを合わされてしまうため、禁忌である。(動画内では失敗例も紹介されている)
また、ポストのボールハンドラーがドライブをキャンセルして、リトリートドリブルに移行した場合も、ヘルプDFはダブルチームをキャンセルして、元のマークマンに戻らなければならない。
 
加えて、ダブルチームを行っている間、オフボールDFのディナイ(特にヘルプサイドのペイントエリアのディナイ)がきちんと出来ているかが重要である。
 

最新NBA戦術紹介④ Attack one-pass-away defence

今回紹介するのは、Coach Danielチャンネルから、Advanced NBA Concepts part4、"Attacking when the defense helps one pass away on the perimeter"(ペリメーターでワンパスの距離にヘルプに来られた時どう攻めるか)である。
 
アウトサイドからのドライブにヘルプが来た場合の攻め方は、以下の四つに分類される。
 
①Spot up shoot or drive
②Cut back door
③Move behind the ball handler
④Flare Screen
 
 
①Spot up shoot or drive 
 
 

f:id:ocum2013-041:20181029121627p:plain

一番シンプルなパターンで、ヘルプ(2DF)の元々のマークマン(2OF)にパスをさばき、そのギャップからシュートかドライブに移行するケースである。
 
 
 
 
 
②Cut back door
 
 

f:id:ocum2013-041:20181029121654p:plain

2OFへのパスもケアしつつヘルプに来られた場合は、2OFがバックドアを仕掛けることで、イージーバスケットを作ることが出来る。
 
 
 
 
③Move behind the ball handler
 
 

f:id:ocum2013-041:20181029121721p:plain

ボールハンドラーの後ろまで回り込むことで、2はワイド―オープン3Pを打つことが出来る。2のギャップを大きくするため、1が(x2に対する)スクリーンをセットするとより効果的である。
 
 
 
 
 
④Flare Screen
 
 

f:id:ocum2013-041:20181029121742p:plain

 
x2にフレアスクリーンを仕掛けることで、2がワイドオープンになるパターンである。
これに対し、x5がローテーションして2をケアした場合、今度はスクリナーの5がフリーになる。(→Flare Slip etc...)
 
 

f:id:ocum2013-041:20181029121849p:plain