現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

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プリンストン・オフェンス研究中

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かつて米国バスケ界を席巻し、今なおそのコンセプトが生かされているモーションオフェンス・システムに、プリンストン・オフェンスがある。

ただし、一言でプリンストン・オフェンスと言っても、ShuffleやChinを組み込んだものや、UCLA Cutを取り入れるかそうでないか等、あまりに多くのバリエーションがあり、最大公約数的な形を提示するのは簡単ではない。

しかし今回、敢えてその困難な道に挑戦してみたいと思う。

 

多くのプリンストン・オフェンスにおおよそ共通するコンセプトを挙げていこう。

 

①4out1inの形から、フローチャート式に展開する。

②Backdoorを中心とするリム方向へのカッティングを積極的に狙い、それをケアさせた上でのオープン3Pも狙う。Flare Screenを組み込むのも一般的。

③広いスペーシングを生かし、ボールスクリーンやDHOからのRoll inやKick out 3Pも狙う。

 

こうしたコンセプトが大体含まれていれば、プリンストン・オフェンスと呼称される(自称・他称問わず…)ため、実に様々な形のプリンストン・オフェンスが存在している。

また、各チームのプレーヤーの性質やオフェンス方針に従って自由に改良していくことも許容されるだろう。

今回はあくまで、「ありがちな」プリンストン・オフェンスの"一例"を提示してみることにする。タイトルの通り、筆者はまだ「プリンストン・オフェンス研究中」であるため、この暴挙をどうかお許し願いたい。

 

Princeton Entryの基本形

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多くのプリンストン・オフェンスは、上図の形でスタートすることが多い。

ポストマン(5)側にオフボールマンが2人いる場合は、ボールハンドラーが指示して、2人のうちの1人を逆サイドにカットアウトさせる……といった臨機応変な対応が肝要である。

 

Princeton offenseの3パターン

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上図の通り、最初に三つのパターンへ分岐していくのが一般的である。

Ⅰ Elbow Entry

Ⅱ Wing Entry

Ⅲ Side change Entry

ここからはパターン別のオプションを概説していく。

 

 

Ⅰ Elbow Entry

 

1 backdoor

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ハイポストへパスしたPGがバックドアを試みた後、ポストマンがパス&ピックへ移行するオプションである。

図の通り、バックドアなどでリム方向へカットしたプレーヤーは、コーナーへとSpot upするのが基本ルールである。

ポストマンのパス&ピックのケースは今後も頻出だが、いずれもDHO(Dribble Hands-off)への代替が可能である。

(DHOの基本パターンについては、現代バスケットボールの基本的な動きで解説済み。特にプリンストン・オフェンスでは、厳しいマークに対して積極的にバックドアを仕掛けることが重要視されている)

上図ではヘルプサイド・ウィングの3にパス&ピックを仕掛けているが、ボールサイド・ウィングの2にパス&ピックを仕掛けても良い。

 

1→3 away

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パスしたPGが、ヘルプサイド・ウィングのプレーヤーにAway Screenをかけるオプションである。図のようなバックドア(あるいはリジェクト)のパターンの他、フレアやカールといったパターンも有用だろう。(Awayの基本パターンも現代バスケットボールの基本的な動きで解説している)

上図のように、ポストマンはヘルプサイド・ウィングの1、あるいはボールサイド・ウィングの2へパス&ピックやDHOを試みる。

 

1→2 away

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パスしたPGが、ボールサイド・コーナーへAway Screenを仕掛けるパターンである。

基本的にカッティングを仕掛けたプレーヤーはコーナー等へSpot upするという原則があることを先ほど述べたが、この場合はヘルプサイドのウィングとコーナーが既に埋まっているので、図のような『ヘルプサイド・トライアングル』の形成へ移行する。(2が4にクロススクリーンを仕掛けるといったパターンも有効かもしれない)

ポストマンのパス&ピックないしDHOは、上図のように1に対して仕掛けてもOKだし、3に対してでも良い。

 

 

Ⅱ Wing Entry

 

UCLA→Flare Screen

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ボールサイド・ウィングへパスした後、5→1のUCLAカットに移行し、スクリナー(5)へパスしてヘルプサイドへの展開を狙うパターンの一つである。

上図では4→3のFlare Screenを例示しているが、3→4のAway Screenなども十分選択肢としてあり得る。

 

Post up→Split

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ボールサイド・ウィングにパスをした後、ポストマンがローポストへPost upし、Split Cutへのパスを狙うパターンである。(Split Cutをきちんとケアされる場合は、たいていポストマンへのヘルプが手薄なので、その場合ポストマンは1on1を仕掛ける。)

3のバックドアのようなリムへのカットを生かすため、図のようにポストマンはローポストのやや外側にPost upするのが好ましい。

図ではSplit Screenのユーザーである3のバックドアを例示したが、3が普通にスクリーンを使い、スクリナーの2がバックドアを仕掛けるパターンも十分に考えられる。(3の動きに合わせて、2はフレアを仕掛けるかバックドアを仕掛けるか臨機応変に判断するのが望ましい)

 

 

Ⅲ Side change Entry

 

Flare Screen

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ヘルプサイド・ウィングへ展開のパスを出したPGに対して、ポストマンがFlare Screenを掛けるオプションである。

図では省いているが、もしフレアカットした1へパスが飛んだ場合、5→1のPNRに移行するといったパターンが考えられる。

 

Chin offense

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図の通り、ヘルプサイドへの展開の後、5→1のShuffle Screenを軸にオフェンスするオプションである。

上図ではその後、5→3のFlare Screenを例示したが、3→5のAwayや、3がスペーシングしたうえで5→4のPNRなども有り得るパターンである。

 

上述したパターンをフローチャート化したのが下図である。

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フローチャートの末尾に括弧付きで書いた通り、上述したオフェンスパターンからPrinceton Entryへ回帰することで、フローチャートを"巻き戻す"ことができる。

今回のパターンで行くと、本来ならパス&ピックに移行するところを、パスアウトからPrinceton Entry再形成へ移行することで、新たに別のPrinceton offense patternへ移行することが可能になる。

 

 

繰り返しになるが、今回記述したプリンストン・オフェンスは、あくまで数あるパターンのうちの一つの"可能性"に過ぎない。

現実に運用されているプリンストン・オフェンスを参考にしつつ、自チームに合うものを模索していくのが重要だと考えられる。

 

 

参照サイト・動画

プリンストンオフェンスとは 解説 : bball Connects

【NBA】LALに導入できなかったプリンストン・オフェンス ( バスケットボール ) - I LOVE NBA NAKのブログ - Yahoo!ブログ

Breaking Down the Most Efficient Princeton Offense in the NCAA: Richmond Spiders - YouTube

NBA: Princeton Offense Series - YouTube

Air Force Princeton Offense - YouTube

Chin Offense - Princeton offense run by high school team - YouTube

 

 

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