現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

スイッチDFの攻略法 追加

以前、PICKANDPOP.NETから、Switch Attackingを紹介した。

mbtr.hatenablog.com

現在、PICKANDPOP.NETからさらに新しいSwitch Attackingが紹介されているため、それをここで紹介したい。

 

pickandpop.net

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スイッチDFに対して特に有効なSlipコンセプトの一つ。

 

 

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ユーザーのBackdoor、スクリナーのSlip inという、スイッチDFが不得手とするムーブ二種類が組み合わさっており、非常に守り辛いコンセプト。

 

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これもスイッチが不得手とするSlipムーブ。

 

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Pindownをスイッチさせてから、インサイドのミスマッチにボールを入れるコンセプト。

 

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現代バスケットボールの基本的な動きで"Twist"として紹介したムーブ。

 

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PNRによって出来たインサイドのミスマッチを、相手がフルフロントでDFしてきた場合、もう一人のインサイドがハイポストにフラッシュすることで、容易にハイロープレーを作ることが出来る。

 

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相手が図のようなスイッチアウトを行ってきた場合、スクリナーのフラッシュ、ユーザーのバックドアでイージーバスケットを作ることが出来る。

 

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Back Screenに対してスイッチを仕掛けてきた場合、スクリナーの裏がフリーエリアになるため、Sealすることで簡単に裏を取れる。

 

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ビッグマンが外、ガードが中の状態からのBack Screenをスイッチさせたら、即座にアウトサイドのミスマッチを作ることが出来る。

 

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スイッチの弱点であるSlipのパターンの一つ。

 

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スイッチ攻略用のセットオフェンスの一つ。

二重、三重のスクリーンでビッグマンに確実にガードがつくように仕向け、ビッグマンの裏をクリアにしてから、ロブパスを供給するというコンセプト。

 

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Hornsの形からPNRのロールインに対してコーナーを経由してボールを入れるだけで、スペースの広いインサイドのミスマッチを攻めることが出来る。

 

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ボールスクリーンとフレアスクリーンの組み合わせにより、ポップしたプレーヤーにビッグマン(x5)がつかざるを得なくなり、そのミスマッチを攻めることが出来る。

 

pickandpop.net

 

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PNRからインサイドのミスマッチにボールを入れるコンセプト。コーナーに誰もいない(Empty)パターンと、コーナーを経由してボールを入れる(Corner Filled)パターンがある。

 

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5のスリップに対し、相手(x5)がスイッチをキャンセルする場合、(x1が既に5へのスイッチの準備をしてしまっているせいで)元々5とx5が居たところにドライブコースが出来る、というコンセプト。

 

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このタイプのPNRスイッチの場合、図の通り逆側にドライブコースが出来やすい。そこにPNRスクリナーのClearoutも組み合わせて、アウトサイドのミスマッチを攻めるコンセプト。

 

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Pick and Popから、ハンドラーが逆側に切り返すコンセプト。

 

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Running Slipとほぼ同じ。

 

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Corner Filledに形は似ているが、コーナーを経由しない。

 

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コンセプトとしてはDrive the Slipとほぼ一緒。こうしたスライスカットだけで相手のスイッチDFを混乱させることができる。

 

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Pick and Popに対し、スイッチ&ディナイを仕掛けると、このように簡単にBackdoorを取ることが出来る。

 

以上。

 

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「Pick and Roll Passing」―バスケットボール戦術クリニック①’―

参考動画

www.youtube.com

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追加

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参考リンク:

www.youtube.com

 

「フレアスクリーン」―バスケットボール戦術クリニック⑤―

  1. 悪いフレアスクリーン・良いフレアスクリーン

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フレアスクリーンは、リムから十分に離れた位置で、DFのランコース上にセットするのが望ましい。リムに近すぎる場合は、BackdoorやFadeといったオプションを狙えないため、ノーリスクでユーザーDFがオーバーし、簡単に守られてしまう。

 

  1. “Over” Concept like Top-Lock for Flare Screen

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Top-Lockとは、Away(Pindown)に対し、ユーザーDFがハードディナイしつつ、スクリナーDFがBackdoorをケアするコンセプト。フレアに対しては、Top-Lockと似たコンセプトで、ユーザーDFが思い切りオーバーし、スクリナーDFがBackdoorをケアする形で守られる場合がある。このDFシフトに対するCounterを用意しておかなくてはならない。

  1. Counter for “Over” Concept

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スクリナーがElbowに上がり、Backdoorパスを中継するプレー(Blind Pig)、ユーザーのバックカットをケアさせてからスクリナーがバックカットを仕掛けるプレー(Double Backdoor)、ユーザーがスクリナーDFにスクリーンを掛けるプレー(Counter Screen Concept)などがカウンター戦術として考えられる。

  1. Counter for Switch DF

 

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スイッチDFに対しては、相手のDFの先読みの裏を欠くBackdoorやFlare Slipの他、スイッチアウトへのカウンターとしてのScreen your own manが挙げられる。

  1. ボールマンに視野を集中させる

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ボールマンに視野を集中させることで、Flare Screenにかかりやすくするコンセプトである。Give&FlareはFlare Screenユーザーに直前までボールを持たせることでユーザーDFの視野を狭くしてFlareにかかりやすくさせるプレー。PNP Flareはボールマンへのカバーのために視野が狭くなっているPNPスクリナーDFにFlare Screenをセットするプレー。

  1. おまけ:Flare Screen基本4タイプ

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「DFコンセプト&カウンター」―バスケットボール戦術クリニック④―

  1. スイッチDFコンセプト

Post Switch “Scram”

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スイッチで発生するインサイドのミスマッチを、オフボールスイッチ(あるいは一時的なダブルチームを経たスイッチ)で解消するコンセプト。相手が4out1inでないと使い辛いという欠点はあるが、極めて重要。

 

Triple Switch (2 switches in a row)

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PNRでのスイッチと先のScramを組み合わせたコンセプト。PNRスイッチで発生するインサイドのミスマッチを、オフボールスイッチで解消する。

Scramでも同様だが、x1よりも相対的にサイズの大きいDF(例えばx3など)とスイッチしても有意義である。

 

 

Bigs switch (in PNR and Pindown Curl)

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PNR、ないしPindown Curl(Away Curl)に対して、ユーザー⇔スクリナーのスイッチに加え、ビッグマン同士のスイッチも行うことで、すべてのギャップを最小化するコンセプト。3out2inに対しては、ScramやTriple Switchよりこちらの方が効果的になる。

 

ICE to Switch

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ICEは、図の通り、PNRに際してベースライン方向にディレクションしながらソフトヘッジを行うDFだが、ICE to Switchでは、そこからスイッチに移行する。ICEからノーマルに戻るときのギャップを発生させないためのコンセプトで、これによる生じるミスマッチはScramで解消する。

 

Late Clock Switch-Out

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ショットクロックが残り少ないタイミングでのPNRに対し、元々のマークマンではなく、オフボールのG-FのDFがスクリナーDFとしてSwitch-Outするコンセプト。これにより、ギャップを最小化できる。相手はショットクロックの残りが少ないので、そのスイッチによるミスマッチを攻めるのは難しい。

 

  1. スイッチDFアタック

HITBACK

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ガード⇔ビッグマンのボールスクリーンでスイッチさせて、他のプレーヤーにボールを持たせてから、ガードOFvsビッグマンDFの「速さのミスマッチ」にボールを戻して攻めさせるコンセプト。

そのまま攻めさせるのではなく、一旦ボールを他に収めるのは「ビッグマンDFのヘルプDF⇔ボールマンDFの切り替えの遅さを突く」「他のプレーヤーにボールを持たせることで、そのDFを外へと引き出す」という二つの理由の為。

この後、同時に存在する「高さのミスマッチ(ビッグマンOFvsガードDF)」でオフェンスリバウンドを狙うのも重要になる。

 

Slip vs PNR Switch

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Slipは、スイッチDFの弱点となる典型的なオフェンススキル。見落とされがちだが、スイッチに下手に対応すると、スクリーンが設置されて居た側のカバーが薄くなり、ドライブしやすくなる。

 

Slip vs off-ball Switch

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オフボールスクリーン・スイッチに対しても、Slipは極めて有効になる。Slipを十分にケアしようとすれば、本来のユーザーに簡単にボールを入れることが出来たり、ボールマンのドライブに対しカバー・ローテーションが出来なくなったりする。(似たコンセプトとしてSlipを含むSplitも有効

 

“154” Action

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“154” Actionは4→1のPNRから、5→1のPNRに移行するプレー。図の通り、二回目のPNRを守るのが比較的鈍重なx4とx5になってしまい、平面のギャップが出来やすくなるという構造になっている。

 

Screen your own man

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スイッチDFでは、スイング&スクリーンにSwith-Out(画像では、x5が外へスイッチしてケア)を行うのが通常である。これを逆手に取って、5がx5(your own man)にスクリーンすることで、スイングしてきたプレーヤーに簡単にボールを入れることが出来る。

 

 

Bunch Formation (Stagger)

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図のような垂直なダブルスクリーンは、スイッチDFをしばしば混乱させる。また、5のSlip inや、x5へのScreen your own manを組み合わせることで、イージーショットやワイドオープンを作ることも出来る。

 

 

Backdoor (Reject)

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スイッチDFに対しては、図のようなBackdoor (Reject)ムーブも有効になりやすい。これを一度でも試行して警戒させれば、アウトサイドでのパス回しは格段 に楽になる。Backdoorを含むSplitも極めて有効

他にも…

SCREEN WITH WEAKEST DEFENDER'S MAN

一番ディフェンス力の弱い(特に、サイズが小さい)DFにマークされているプレイヤーがボールスクリーンを行い、わざと(スコア能力の高い)ボールマンへスイッチさせて、そのミスマッチを攻めさせるというコンセプト。

GSWvsCLEでは、このコンセプトによってレブロンvsカリーが作られ、レブロンが簡単に得点するという場面が散見される。

BIGS PUNISH SMALLS ON OFFENSIVE GLASS

スクリーン等によってビッグマンとガードのミスマッチが生じた際、ビッグマンがサイズ差を利用してオフェンスリバウンド→プットバックを試みるコンセプト。

 

追加

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  1. ゾーンアタック(ゾーンオフェンス)

Seal or Screen

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ゾーンDFは、それぞれのプレーヤーに固有のDFエリアがあるため、スクリーンによってDFエリアを制約することで、簡単に”フリーエリア”を作り、ワイドオープンを作ったり、相手に望まないローテーションを強制したりすることができる。

 

Stretch DF

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ポジションチェンジやスイングなどを用いて、ベースラインDFをアウトサイドへ引き出せれば、ペイントエリアにスペースを作ることが出来る。

(ちなみに、1-3-1は既にベースラインDFが引き出された状態にあたる)

図は、Stretch DFにSeal or Screenを組み合わせたパターン。

 

Punching or Penetration

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ドライブインによるPunchingで、相手にローテーションを強制させるコンセプト。ボールスクリーンを組み合わせることで、より容易にPunchingに成功しやすくなる。
また、Penetrationは「ベースライン・ドライブ」に弱いというゾーンDF一般の弱点を突くコンセプトになる。

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Motion / Flow (Overload)

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Motion / Flowは、図のようにハイポスト&ローポストを目まぐるしく移動しつつボールを動かして、生じるギャップを攻めるコンセプトで、Overloadと組み合わせることもある。日本ではとても流行しているコンセプトだが、ゾーンDFに極めて有効であるスクリーンプレーと組み合わせ辛いのが難点。

 

おまけ

実は、スイッチDFとゾーンDFは、かなり似通った構造を持っている。

Screen your own manが有効になるのは、「インサイド側に居るDFがそのままインサイドをケア、アウトサイド側に居るDFがそのままアウトサイドをケア」というスイッチDFの原則の裏を欠くからだが、これはゾーンアタックにおけるSeal or Screenのコンセプト(スクリーンによる各DFのDFエリアの制約)と極めて似通っている。また、Post Switch “Scram”が徹底されているスイッチDFでは、最低でも一人以上のビッグマンが常にインサイドをケアすることになり、ますますゾーンDFライクになる。

 

参考ページ

mbtr.hatenablog.com

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pickandpop.net

mbtr.hatenablog.com

「オフボールムーブ」―バスケットボール戦術クリニック③―

0. スクリーンプレーの正しい考え方

・普通以上のDFの場合、スクリーンに素直にかかることはほとんどない。

・大抵はオーバー、ないしアンダーで抜けてくる。(あるいはスイッチ)

・このため、基本的には抜けられることを前提にスクリーンプレーを行うことが重要(※もし引っ掛かったら、当然それに対応

・「相手のクローズアウトのランコースにスクリーンをセットし、(抜けたとしても)チェックを遅らせる」

「DFの抜ける方向に合わせて動きを変える」

「ユーザーのギャップだけでなく、スクリナーのギャップを存分に使う(そのために、スクリナーの動き出しを早くする)(スクリナーのギャップを使う特定のムーブ……Twist, Invert, STS, etc…)」

といったカウンターが必要。

1. オフボールスクリーンの基本オプション 3+1

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ユーザーDFが後追いの場合はCurlを選択。

ユーザーDFがアンダーしてくる場合はFlareを選択。

ユーザーDFが先回りしてボディチェックしてくる場合はRejectを選択。

また、どのスクリーンプレーにおいても、ユーザーへのケアが激しい場合は常にスクリナーのSlipが有効なオプションになることを意識。

 

2. オフボールスクリーンの発展形

Twist and Invert

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どちらもスクリナーのギャップにフォーカスを置いたムーブメント。

ユーザーのCurl、ないしユーザーのスクリーンによってスクリナーをオープンにする。

 

Flare, Flare Slip and Wiper

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Flare Screenを基本形とした2+1種のムーブメント。

相手がスイッチを多用する場合はFlare Slipが有効。

Flare Screenを先読みしてアンダーしてきた場合はWiperが有効。

 

Split

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俗に「シザース」とも呼ばれる動き。図のように、DFの読みに合わせて適宜バックドアを狙う。この動きをDFが十全にケアする場合、必然的にポストへのカバーは困難になる。

 

Double Stagger Series

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垂直なダブルスクリーンから発展するムーブメント。

一般に、StaggerはスイッチDFを混乱させやすいという利点を持つ。

Stagger Twirlは、2のCurlから5→1 Awayに発展するムーブ。

Stagger Fanは、4&5のStagger(2のCurl)から、5→4 Flareに移行するパターン。

 

STSFlex and Rip

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Screen-the-screenerと呼ばれるムーブメント。1番目のスクリーンに対してDFがヘッジしてくるのかスイッチしてくるのか(スイッチしてきたらCurl有効)、2番目のスクリーンに対してはスイッチしてくるか(スイッチしてきたらSlip有効)に応じて的確に動きを変える必要がある。

 

Over Under and Floppy

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ウィングにオープンを作るムーブメントして頻出の2種。

ウィングのギャップの最小化に拘るとインサイドのギャップが大きくなり、双方に集中するとボールハンドラーへのカバーがおろそかになる、といった厄介な構造を持っている。

 

3. 合わせの4D(渦の理論)

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合わせの動きとしては、上記の”4D”が基本。

4Dの選択は、右上図のような『渦の理論』に則って判断する。(渦の理論は、図の通りDFローテーションに”対応”してギャップを作る合わせの動きの理論)

 

4. StretchとClearout

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StretchとClearoutはいずれもカバーDFを妨げるコンセプトだが、自分の位置関係、OFRBを狙うか否かや、相手のDFシフトに合わせて使い分けることが重要。

 

5.Clearout in PNR

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PNRにおけるClearout。上図はスクリナーではない方のDFがゴール下でのClearoutを行うパターン。スクリナーDFがヘッジ&バックを行う場合は自分のマークマンをClearoutし、相手DFがBigs switchを行う場合は、スクリナーDFをClearoutすることで、ボールハンドラーにドライブコースを与えることが出来る。

 

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こちらは、PNRスクリナーがClearoutを行うパターン。フラットスクリーン→jailから、カバーDF(スクリナーDF)にClearoutを試みるjail clearoutの他、ボールスクリーンに行くと見せかけてClearoutし、ドライブコースを作るパターンもある。

 

6. SlotとSpread

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Slotは、あるポイント(コーナー、ウィング、ベースラインなど)に最初から1人で位置取り、そこでボールを受けるスペーシング・コンセプトである。

これに対し、Spreadは、2,3人以上の複数人が一か所に集中し、そこから一気に広がってスペーシングするコンセプトである。

相反するコンセプトであり、Clearout vs Stretchと同じく、使い分けが肝要になってくる。

 

 

参照ページ

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「ボールムーブメント」―バスケットボール戦術クリニック ②―

0. ボールムーブメントの指針

・ボールムーブメントの目的は、ボールを動かすことで相手のDFをStretchさせたり、ストレスをかけたりすることで、オープンショットやイージーショットを作り出すことである。

・そのためには、相手DFの収縮⇔クローズアウトを強制する「インサイドアウト」が欠かせない。(どのようにインサイドにボールを置くか、が問題になる)

・また、インサイドアウトの後のパスorドライブの的確な選択が重要になる。

 

1. インサイドにボールを置く

ポストへのパス

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ポストへのパスは、インサイドへボールを入れる最も典型的なプレーだろう。

ポストへのディナイがあったとしても、図の通り、コーナー&ローや、スキップパス&ローといった形(パスを入れるアングルの変更)を取ることで、ポストにボールを入れることが出来る。

勿論、ポストマンがディナイの”裏”を取り、そこにロブパスを飛ばすというパターンもある。

 

ドライブ

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ドライブも、インサイドにボールを置く極めて単純な方法の1つである。

ボールハンドラーはこの際、ドライブしながらも、他のプレーヤーの動き、どこがオープンになっているかを正確に把握する能力が必要である。

 

 

カッティングへのパス

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オフボール・カッティングへのパスも、インサイドにボールを入れる手段の一つになる。こうしたオフボール・カッティングでは、カットマンがシュートに固執しすぎることが問題になりがちなので、カットマンは常にパス・パスアウトをオプションとして意識する必要がある。

 

 

 2. パスとドライブの選択

ドライブからのパターン例

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良いボールムーブメントの例として、ドライブからの展開例を記述してみた。

ウィング→コーナー、コーナー→ウィングのExtra passによってDFをクローズアウトさせ、インサイドにスペースを作ってからドライブインするという構図である。

当然のことながら、キックアウトおよびExtra passの段階でのシュートは常にファーストオプションとなる。

 

 

 

 

ロールインへのパスからの悪い

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ロールインへのパスからの悪い例。

二番目の図の場合は、3へパスしてx3をStretchさせる必要がある。

三番目の図の場合は、ヘルプサイドに残り4×2人が固まっている状態なので、ドライブ自体が望ましくなく、シュートを打つか、オフボールの動きを待つべきとなる。

 

 

ロールインへのパスからのパターン例

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ロールインへのパスからの修正例。

三番目の図では、ドライブ以外のオプションとして、再びインサイド(ポスト)へパスするパターンを記載した。

このパターンのように、ポストマンがそのまま貰う場合もあれば、Stretchしていた他のプレーヤーがカッティングして貰うパターンもある。(特に、コーナーからベースライン沿いに飛び込むパターンは頻出。ただし、息があってないと難しい…。)

 

 

 

参照ページ

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スティーブンス、メッシーナのボールスクリーンDFコンセプト +α(Veer-Back)

 今回は、ボストン・セルティックスHCのBrad Stevens、及びサンアントニオ・スパーズACのEttore Messinaのクリニック・ノートから、ボールスクリーンDFコンセプトを紹介・解説していく。

(また、末尾では、ボールスクリーンDFの頻出パターンであるVeer-Backについて付随的に解説する)

 

pickandpop.net

 

このノートでは、スティーブンスのハードヘッジDFおよびアイスDFのシステムについて解説されている。(もちろん、ボールスクリーンDFに関する個々のスキルや心得についても丁寧に解説されているが、それらは本文参照のこと)

 

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スティーブンスによれば、図のようなP&R(Spread P&R)に対して、同サイドコーナーDF(x3)がヘルプに向かうのは望ましくないという。

同サイドコーナーに簡単にパスが通り、ワイドオープン3Pを打たれてしまうからである。

なのでスティーブンスは、ヘルプサイドコーナーDF(x2)がロールへのヘルプに出るべきだと主張している。

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なお、"Contain Blitz"とは、図のようなハードヘッジDFの際、ボールマンからパスが出るまでは、ボールマンDFとスクリナーDFで時限的なダブルチームを行うというコンセプトである。

これは、ボールハンドラーのイージーなスコアリングや、ゴール下への致命的なパスを防ぐ点で重要なコンセプトであり、ボールハンドラーが強力なプレーヤーであるほど有効となるコンセプトなのだという。

 

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これらはミドルレーンでのPNPに対するローテーション、およびサイドPNPに対するビッグマン同士のスイッチDF("X Switch")の提示。

これらのローテーションやスイッチDFの精度は、ビッグマン(x4,x5)の機動力にかかっており、このため、スティーブンスは機動力に欠けるビッグマンの採用を好まないという。

 

 

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これは、先ほど紹介したスティーブンスのDFコンセプト("X Switch", "Ultimate Helper")を練習するためのドリルだそうだ。side PNPに対してX Switchを行ってから、サイドチェンジし、spread PNRに対してUltimate Helperを行うというDFドリルである。

 

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これはスティーブンスの提案するICEのDFローテーション"ICE to Blitz"の紹介。

まず、2は(カイリー・アービングのような)優秀なスコアラーだとして、その場合は、図であるように、ICEから"Down to Blitz"(ベースライン側に誘導してからのダブルチーム)に移行して、パスをさせる。

図では、スクリナーがポップして、サイドチェンジを行うことになっている。

図のように、サイドチェンジ後にドライブが始まれば、x2がBlitzに向かい(さすがにバスケットを守るのが一番大事なので)、x4が2(トップスコアラー)へローテーションする。(他にも、”ICE to Switch”が提案されているが、その解説はこの記事に譲る)

 

 

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これは、ポップする4がシューターである場合のICE to Blitzパターンである。

さすがにシューターをオープンにするわけにはいかないので、x1がチェックに向かい、サイドチェンジ・パスが1へと飛ぶなら、x4がローテーションする。後の形は普通のICE to Blitzと同じになる。(ただ、文中でスティーブンス自身が言うように、x4が直接1へとローテーションするとは考えにくい。ヘルプサイドの他のDFがケアして、それによってオープンになったプレーヤーにx4がローテーションするのが普通だろう)

主だったコンセプトの紹介は以上だが、先ほども触れたように、ボールスクリーンDFに関しての(スティーブンス独自の)チェックポイントが多数解説されているので、関心があれば直接読むことを薦めたい。

 

 

pickandpop.net

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メッシーナは、ミドルレーンP&Rにおいて、ボールスクリーンを遅れてアングルチェンジ(late angle change)するプレーを独自に"flip"と呼んでいるが、もしこれをされた場合、ボールマンDFは必ず"アンダー"すべきだと主張している。

なぜか。図の通り、スクリナーDFのヘッジは空振っている状態で、もしここでスクリーンを”オーバー”してしまうと、ボールハンドラーの自由度が高くなりすぎてしまう。

ボールハンドラーのシュート力が高い場合でも、アンダーして自由度を下げた方が失点リスクは低下する。

 

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メッシーナは、上記の形のミドルレーンP&Rに対して、ベースライン際(ボトム)のプレーヤーがロール・カバーをするのは望ましくないと主張している。

コーナーへのキックパス、及びロールマンへのポケット・パスを防ぐことが不可能となるからである。

 

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そこでメッシーナは、一番近いDFがロールをカバーすることを推奨する。

そうすれば、先ほど挙げたような致命的な二種類のパスは不可能になる。

また、x3がカバーに出た後に3にクローズアウトするより、x2がカバーに出た後に2にクローズアウトする方が、距離が少し短くて済むというのもポイントである。

 

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図のように、ボールハンドラーが2人サイドへ、ロールマンが1人サイドへ向かう場合、「相手の狙いはより広いロールマン側のサイド」であることは疑いないため、x5はそれを想定したDFをしなくてはならない。(例えば、ボールハンドラーに対して稚拙なカバーに出ると、x5に簡単なパスを通されてしまうのでダメ)

 

 

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図の"ZIpper Chase"のような、スクリーンユーザーがトップにエントリーしてPNRをするようなプレーに対しては、普通のコーチは(図のように)ボールスクリーンを使えないようにポジショニングしてPNRによるギャップ発生を未然に防ぐという方法論を唱えがちなのだそうだ。ただ、メッシーナによれば、これは間違っているという。

 

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メッシーナの案では、スクリーンユーザーをHard denyし、より遠くでボールを貰わせた上で、PNRを"アンダー"すべきだ、ということになる。

こうした方が、失点リスクを抑えられるというのである。

 

このノートは、他にも示唆的な記述がたくさんあるので、Stevensのノートと併せて通読することを薦めたい。

 

 

おまけ Veer-Back

pickandpop.net

www.youtube.com

 

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Veer-Backは、図の通り、ミドルレーンPNRに対し、x1が”Late Switch"してロールマンをボックスアウトするコンセプトである。

ボールマンに抜かれきってしまっているのに迂闊に戻ろうとすると、そのままロールマンへパスが通ってしまう。

そのようなシチュエーションでは、(苦渋ながら)このVeer-Backを選択する、という具合である。

これをしないと、ロールマンへFeedが通ってしまうことはもちろんのこと、オフェンスリバウンドでも不利になってしまうので、常にオプションとして意識しておかなくてはならない。