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Single-Side Bump Action(あるいはSingle Tag Action)については、拙記事『現代バスケットボールの基本的な動き』にて紹介したことがあるが、今回様々なパターンの紹介もかねて、まとめ直してみることにする。
追記:2020/4/6:まとめ動画:
続きを読む
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今回も、タイトルに沿った内容の拙togetterを紹介していく。
これはデアンドレ・ジョーダンとドワイト・パウエルという二人のプレーヤーを題材に、DFを攻略するにあたって機能しない悪いピックとは何か、逆に攻略に機能する良いピックとは何か、について考察したtogetterである。
ツイートを引用していこう。
DALから移籍したDJですが、
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
・DJのピックは微妙
・逆にパウエル(ドワイト・パウエル)のピックは上手い
という話をしたいと思います。
まずはDJの以下のシーン。
最終的にはRe-Screenでズレは作れていますが、最初のピックはダニー・グリーンに完全にファイトオーバーを許してしまっています。 pic.twitter.com/FCdcYDsgeJ
このDJのピックも、レナードにファイトオーバーを許してしまっており、スクリーンをセットする位置や角度(特に位置)に問題があると言えます。(いかにダニー・グリーンやレナードのDFが上手いとはいえ......) pic.twitter.com/u6aHBR0GGg
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
このDJのボールスクリーンもよくありません。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
『ピック&ロール…ファイトオーバーに対する”flip”(スクリーン角度変更)』 https://t.co/hbeEGwtfxF で紹介したように、この場合はハンドラーDF(レナード)のスタンス変更に合わせて迅速に"flip"すべきです。 pic.twitter.com/X2GKJIJXQ4
似たようなシーンでパウエル(ドワイト・パウエル)はどうしているかというと、https://t.co/tmiJCOotPLのように、スタンス変更に合わせた"flip"をそつなくこなしています。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
少し距離を空けてファイトオーバーさせづらくするという繊細な調整まで行っています。
DALvsSASから、DALのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 26, 2019
DALパウエルの見事なスクリーン角度変更("flip")。
やや離れた位置にポジショニングして、スクリーンに掛かりやすくしているところがGreat。
そこからのロールに対し、SASがLate Switchするか否かを迷ったところを突くパスも素晴らしい。 pic.twitter.com/7CdquGwXmg
このパウエルのピック(ボールスクリーン)も注目です。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
①適切な距離をとりつつ
②Bottom Half (DFの裏側)から
スクリーンをセットすることで、ハンドラーDFのファイトオーバーを阻止しています。 pic.twitter.com/4jEwXACwEK
このパウエルのピックも、
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
①適切な距離・位置
②適切な角度(Bottom Half)
が揃っており、これにより相手のDFを崩しています。
これらを総合すると、DJのスクリーンの拙さに比して、パウエルのスクリーンの上手さ(というより、そつのなさ)が目立つという印象です。 pic.twitter.com/J1fUpS7f5N
ポイントをまとめると、
・悪いピックの特徴は、「適切な距離が取れていない=密着しすぎており、ハンドラーDFに簡単にファイトオーバーを許してしまう」、「ハンドラーDFのスタンス変更に合わせたスクリーンの(迅速な)角度変更が出来ていない」。
・裏を返すと、良いピックの特徴は、「適切な距離が取れており、ハンドラーDFに安易なファイトオーバーを許さない」、「ハンドラーDFのスタンス変更に合わせた迅速な"flip"が遂行できている」。(加えて、「適切な角度=Bottom Halfにセットして、ハンドラーDFのファイトオーバーorアンダーを抑止している」ことも重要である)
2020/6/21 追記
以上をまとめた動画が以下になります。
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PNRからのロールの際に、フロントターンすべきか、リアターン(背中側へのターン)すべきかというのは以前から議論のあるところであり、それをテーマにした一連のツイートをまとめたのが上記togetterである。端的に要約しつつ、適宜ツイートを引用していこう。
まず以下の二つの記事を参照しよう。
ボールスクリーンの後はフロントターン?リアターン? | コーチMのブログ
【一般寄稿】ジョン・ストックトンとカール・マローンのピックアンドロールはもう古い! byコーチP | ゴールドスタンダード・ラボ
上記記事では、リアターン(日本ではよく見られる)よりも、フロントターンが推奨されている。その理由は以下の通り。
・フロントターンの方がスピードが出る。
・フロントターンの方がハンドラーDFとのコンタクト時にファウルをコールされにくい。(※リアターンでハンドラーDFにシールするとファウルを取られやすい)
しかし実際には、リアターンが選択される場面(選択される”べき”場面)というのも存在する。
以上を踏まえた上で、Houston Rockets Spread Pick & Roll - YouTubeを題材に、どのような場面でフロントターンが選択され、どのような場面でリアターンが選択されているのか、及びその目的について紹介した。
まずこのシーン。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
ネネイはフロントターンを選択することで、ハンドラーDFにコンタクト("Hit")して押さえ込んだまま、リム付近まで入り込んでいます。
森コーチの指摘する通り、この場合、"イリーガルスクリーン"としてではなく、単なるダイブとダイブに対するBumpと見なされがちなようです。 pic.twitter.com/8rRCWq2sSc
既に挙げたようなハンドラーDFと直接接触するような場合でなくとも、フロントターンを選択することでハンドラーDFに「きちんとオーバーしてスクリーンを回避しなければならない」と思わせることが出来ます。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
そして、きっちりとオーバーさせた時点で、ボールスクリーンの目標はほぼ達成されるのです。 pic.twitter.com/w4gpCTdxte
また、早い段階でロールする"Early Roll" (詳しくは https://t.co/CSV9Ye9JGe )の場合は、先述したような「フロントターンによるスピード面でのアドバンテージ」が重要になるので、基本的にはほとんどフロントターンが選択されているようです。 pic.twitter.com/HFsI3nkco7
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
順番が前後しますが、フロントターンを選択するパターンとして、相手がアンダーやスイッチを選択してきた場合があります。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
背後に回ってきたハンドラーDFを回避してロールする場合、物理的にフロントターンの方が回避しやすいからでしょう。(リアターンだと接触してしまうし、最悪ファウルを取られる) pic.twitter.com/8fwHSBwtJa
上記をまとめると、フロントターンを選択する場面・目的は
・ハンドラーDFにコンタクトしつつロールする際にファウルを吹かれるのを防ぎたい場合
・ハンドラーDFにきちんとオーバーでスクリーンを回避するよう強制したい場合
・Early Rollを行う場合(※よりスピードを出すため)
・アンダーやスイッチで背後に回ってきたハンドラーDFを回避しながらロールしたい場合(※リアターンだと接触してしまうし、最悪ファウルを吹かれる)
といった具合になるだろう。
次に、リアターンの場面を見ていこう。
では逆に、どのような場面でリアターンが選択されているのでしょうか?
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
分かりやすい例が以下です。
この例では、ハンドラーへのBlitz(≒トラップ)に対し、スクリナーがリアターンで即座にパスを受けてアタックしています。
リアターンは、視野の確保による迅速なパスレシーブの面で優位があると。 pic.twitter.com/K2ci7OuXC1
これはスクリナーDFによるショウDFに対し、スクリナーがリアターンして、早い段階でパスレシーブしている場面です。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
以上2例のように、DFによるBlitzやショウDFによってハンドラーにプレッシャーがかかり、スクリナーの迅速なパスレシーブが求められる場合に、リアターンが選択されがちなようです。 pic.twitter.com/NHGF3mDczy
要するに、リアターンを選択すべき場面・目的は
・Blitz(≒トラップ)やショウDFによってハンドラーにプレッシャーがかかり、スクリナーによる迅速なパスレシーブが求められる場合
に限られるということになる。
『vsBlitz、vsショウDFなど、リアターンが有効な場合もあるが、大体はフロントターンの方が好ましい』というのがおおまかなまとめになるだろう。
2020/6/21 追記
以上をまとめた動画が以下になります。
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実際の試合で、イリーガルスクリーン(特にムービングピック)か否かがどのように判断されているのか、そしてそれに合わせてどのようにピックプレーを行えばよいかについて検討したtogetterである。以下に要約していこう。
まずは以下ツイートをご覧いただきたい。
TORvsBOSから、TORのセット。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 28, 2019
DHOから、DHOユーザーがRipをかけに行く形のSpain PnR。(DHO Spain)
余談だが、イバカのボールスクリーンにも注目。ファウル(イリーガルスクリーン)のリスクを背負いながらも、ハンドラーDFにHitする直前までボールスクリーンの位置を調節。 pic.twitter.com/5ttKpnc3mU
このシーンにおけるイバカのピックはムービングではないか、という意見について検討した。
まず、JBA プレーコーリング・ガイドラインを見てみよう。
そこではイリーガルスクリーンについて以下のように書かれている。
(2)イリーガルスクリーン
①相手の動きにあわせて、動いてスクリーンをかける(Moving Pick)
②止まっている相手のうしろ(視野の外)でスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
③動いている相手チームのプレーヤーの進路上に、相手が止まったり方向を変えたりして触れ合いを避けられるだけの
距離をおかずにスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
④シリンダーを越えた手・腕・肘、そして足・お尻等、身体の一部を不当に使ってスクリーンをかける
今回考えるのは、「①相手の動きにあわせて、動いてスクリーンをかける 」の部分である。ただし、注意すべきことだが、ハンドラーDFのスタンス変更に合わせて、スクリーンをセットしなおすことそれ自体がイリーガルというわけではない。以下ツイートを見てもらえるとわかりやすいだろう。
ただ、例えば『相手の位置やスタンスに合わせて、スクリーンを調節する』という行為が禁じられているわけではない。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) March 1, 2019
実際、以下映像のようなスクリーン角度変更("flip")にイリーガルスクリーンがコールされることはまずあり得ないと言って良いはず。 pic.twitter.com/y23rtjnsVb
『相手の位置やスタンスに応じてスクリーンを調節すること自体が禁じられているわけではない』とすると、上述のイバカのスクリーンも、「まだドライブを始めていない(ドリブルキープ中)のハンドラーに対するスクリーンの調節」と見なされれば、イリーガルスクリーンをコールされないことになる。
当然、ドライブ中のハンドラーに対してスクリーンの調節を行うと(裏を返せば、スクリーンの調節中にドライブを始めてしまうと)、その際はムービングスクリーンの規定に抵触するということになる。
問題は、「ハンドラーがまだドリブルキープ中か」or「ハンドラーがドライブをスタートしたか」が曖昧なタイミングが存在するということである。
この曖昧なタイミングのぎりぎりまでスクリーンを調節した場合(イバカのシーンはまさにこれにあたる)、審判が完全に的確な判断をするのは非常に困難になる。
現実の試合では、「ドリブルキープ」と「ドライブスタート」の間の曖昧なタイミングを狙って、スクリーンをギリギリまで調節するという手法が、あらゆるカテゴリーで採用されているというのが実態だと思われる。
後から見返せばファウルを取られかねないものもあると思うが、現状はグレーゾーンを限界まで”攻める”方が有利になっている。
(以上)
過去のボールスクリーン(PNR)関連記事一覧
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今回はtogetterから、スイッチDFに関するまとめを紹介していこう。
"Kick Out" Switch="Scram" Switchは、以前Golden State WarriorsのスイッチDFコンセプトでも紹介したことがあるが、スクリーンへのスイッチなどで発生したポスト付近でのサイズ・ミスマッチを、さらなるオフボールスイッチによって解消するコンセプトのことを指す。
このコンセプトに関するツイートを一部抜粋していこう。
There's been a a lot of recent discussion about 'kick out' switches (or as @ZachLowe_NBA calls them - 'scram' switches) in the NBA. That is, teams switching off the ball to protect their guards from being exposed inside on a mismatch. How does it work? Check out this thread. pic.twitter.com/8APeUIYUSS
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) December 21, 2018
拙訳:『NBAにおける「キックアウト」スイッチ(@ZachLowe_NBA は「スクラム」スイッチと呼んでいる)については近年多くの議論がある。キックアウトスイッチはインサイドでのミスマッチからガードを守るためにオフボールでスイッチするというものだ。これはどのように機能するだろうか? 以下のスレッドをチェックしてほしい。』
Defence switches the 'Open Side' PNR
拙訳:『DFが「オープンサイド」PNR(※プレーヤーのいないサイドへのPNR)に対してスイッチする』
As 'big' rolls the 'small' into the post...
拙訳:『「ビッグマン」が「小さい」DFに対してロールしてポストに入った際...』
Weakside 'bigger' defender takes the roller
拙訳:『ウィークサイドの「よりサイズの大きい」DFがロールしたオフェンスをピックアップする』
...And the 'small' defender is "kicked out' to another 'less dangerous' match up
拙訳:『...そして「小さい」DFは「キックアウト」され、他の「危険度の比較的低い」マッチアップにつく』
The easiest way to 'kick out' the 'small' is when the O runs "Roll & Replace" action after the PNR. That is, they lift the opposite big high as the roller dives to the basket. This means the small only has to move a short distance to be 'kicked out'. See here from @paobcgr pic.twitter.com/Cggzw2BsVp
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) December 21, 2018
拙訳: 『オフェンスがPNRの後に「ロール&リプレース」をしてくる場合は、一番簡単に「小さい」DFが「キックアウト」スイッチできる。ロール&リプレースとは、ロールするオフェンスがバスケットにダイブする際にもう一人のビッグマンがリフトするプレーのことだ。なぜ一番簡単にキックアウト・スイッチできるのかというと、「小さい」DFが「キックアウト」される際に移動する距離が短くなるからだ。@paobcgr のこの動画クリップを見てほしい。』
Defence switches the Mid PNR
拙訳:『DFがミドルPNRに対してスイッチする』
Efes run "roll & replace action" with their bigs
拙訳:『Efes(※スクリナーでない方のビッグマン)がビッグマン同士で「ロール&リプレース・アクション」を行う』
Creator's defender is 'kicked out' to big who replaces high
拙訳:『CreatorのDF(※ハンドラーDF)がリプレースしてきたビッグマンに「キックアウト」スイッチをする』
So what happens if the weak side big doesnt replace high after the PNR? Where does the small go then? Here is an example from @EuroLeague team, @FBBasketbol, where they kick the small out weak side. NB - Kick outs are also called "3 way" or "triple" switching in Europe hoops. pic.twitter.com/IImQXkVVPj
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) December 21, 2018
拙訳『では、ウィークサイドのビッグマンがPNRの後にリプレースしてこない場合はどうなるだろうか? その場合、「小さい」DFはどこに向かうべきだろう? その例が@EuroLeagueの@FBBasketbolによるこの動画クリップである。ここでは、「小さい」DFはウィークサイドへ「キックアウト」スイッチを行っている。注意:ヨーロッパのバスケットボール界では、「キックアウト」スイッチのことは"3 way" switch、あるいは"triple" switchとも呼ばれている。』
Pick and Roll switch
拙訳:『ピック&ロールに対してスイッチ』
Opposite big stays low
拙訳:『もう一人のビッグマンはローにステイ』
So small is kicked out weakside
拙訳:『このため、「小さい」DFはウィークサイドへと「キックアウト」スイッチを行う』
The player who 'kicks out' the guard doesnt have to be a 'big'. It just needs to be a 'bigger' player than the small. A small forward can kick out the guard if it he is in the vicinity to do so. This can occur in Slot PNRs when the corner is filled. See here by @olympiacosbc pic.twitter.com/pNnRSNbt8C
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) December 21, 2018
拙訳:『ガードを「キックアウト」するプレーヤーは、必ずしもビッグマンである必要はない。「小さい」DFに対して「より大きい」DFであれば良い。近くに居るなら、スモールフォワードがガードを「キックアウト」しても良い。これはコーナーに人が居るSlot PNRで起こる。@olympiacosbcのこの動画クリップを見てほしい。』
Defense switches the Slot PNR
拙訳:『DFがSlot PNRに対してスイッチ』
Small Forward kicks out the PG to his player and picks up the roller
拙訳:『スモールフォワードがPGを自分のマークマンへ「キックアウト」して、ロールするプレーヤーをピックアップ』
Ryan (@ry_nguyen) | Twitter(※いつの間にか鍵アカウントになっていたので内容だけ抜粋)
This is one good example to counter it. Here Trez kicks Lou Williams out when Dirk tries to post him, but Powell makes a ghost cut to the rim as soon as Trez leaves him rather than allowing the Clippers to dictate defensively. Now Mavs gets another mismatch they can attack.
拙訳:『これは「キックアウト」スイッチに対するカウンターの好例の一つだ。DirkがLow Williamsにポストアップしようとした際、TrezはLou Williamsを「キックアウト」した。しかしPowellは、Trezが自身から離れた瞬間、(ClippersにDF指示をさせないように)密かにさりげなくリムへとカッティングし、これによってMavsは別のミスマッチ(※Powell vs Lou Williams)を作り、攻めることが出来た。』
"Kick Out" Switch = "Scram" Switchに対するカウンター。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 26, 2019
ウィークサイドのビッグマンへスイッチしたガードを狙ってポストアップ。 pic.twitter.com/GmGS4UbOlA
ポイントをまとめると
・”Kick Out” Switch="Scram" SwitchはPNRなどのスクリーンに対するスイッチで生まれたサイズ・ミスマッチを、オフボールスイッチで解消するコンセプト。
・ビッグマンとスイッチできなくとも、「より大きい」DFとスイッチすることで、サイズ・ミスマッチをより小さくする。
・”Kick Out" Switchを行っても、ウィークサイドではサイズ・ミスマッチが残る場合があるので、カウンターとして、ウィークサイドのサイズ・ミスマッチを攻めるという手法がある。
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”Jump Switch”=”Wall”とは、PNRの際に①他のアウトサイドDFがハンドラーへとスイッチ。②ハンドラーDFが、スイッチしてきたアウトサイドDFの元々のマークマンへスイッチ という具合に、アウトサイド同士のスイッチでズレを最小化するスイッチDFコンセプトのことである。
以前、OF新コンセプト"Stampede"、DF新コンセプト"Wall"という記事で解説したので、そちらもご参照いただきたい。
このコンセプトに関するツイートを一部抜粋していこう。
A Pick and Roll defence that has become increasingly popular in the @ACBCOM is what I call the "Jump Switch". It involves players outside of the PNR, switching hard onto the dribbler as the ball is driven off the screen. See this clip from @valenciabasket explaining the coverage pic.twitter.com/WwHMnUFfgH
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『@ACBCOMでは、あるピック&ロールDFが大いに普及し始めており、私はこれを”Jump Switch”と呼んでいる。これはPNRと関係ないプレーヤーを巻き込み、スクリーン(※ボールスクリーン)を使ってドライブしてきたドリブラーへハードにスイッチするコンセプトである。このカバーを説明するにあたって、@valenciabasket のこの動画クリップを見てほしい』
Guard forces ball into screen
拙訳:『ガード(※ガードDF)はボールマンに対してスクリーン利用を強要する』
'Contact' show from screener's defender
拙訳:『スクリナーDFは「コンタクト」ショウDF(スクリナーから離れないショウDF。スクリナーから離れるショウ DFだとスプリットを喰らうため)を行う』
Guard slips under the screen
拙訳:『ガード(※ガードDF)はスクリーンの下をすり抜ける』
'Nail' defender aggresively 'jump switches' on to the ball
拙訳:『「ネイル」DFがボールに向かってアグレッシブに'Jump Switch'を行う』
On ball defender switches on to the 'nail' defender's player
拙訳:『ボールマンDFは「ネイル」DFがついていたプレーヤーへとスイッチする』
Teams using this tactic will mix up their coverage at the point of screen (last clip it was a 'contact' show, this clip its a 'drop') but still use the same aggressive 'jump switch' technqiue as the ball is driven off the pick. When done well, it can really confuse the offence. pic.twitter.com/afgs60eqPx
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『この戦術(※"Jump Switch")を用いる各チームは、各チームのスクリーン(※ボールスクリーン)に対するカバー方法と組み合わせている(先程のクリップでは「コンタクト」ショウDFと組み合わせていたが、今回のクリップでは「ドロップ」DFと組み合わせている)が、ピックからドライブしてきたボールマンに対するアグレッシブな'Jump Switch'の技法は同じである。これが上手く実行されれば、オフェンスを完全に混乱させることが出来る』
’Drop’ coverage at the point of the screen
拙訳:『スクリーン(※ボールスクリーン)に対して「ドロップ」カバー』
First defender removed from the PNR jump switches on to the ball
拙訳:『PNRに一番近いDFがボールマンに対してJump Switch』
On ball defender switches on to the open offensive player
拙訳:『ボールマンDFがオープンなオフェンスへスイッチする』
Sometimes teams involve a third defender in the 'jump switch' so it becomes a full rotation. See this example from @OBRADOIROCAB. Again we see a 'quick show' at the point of the screen, a hard 'jump switch' from the 'nail' defender, but this time a rotation from a third defender. pic.twitter.com/eKII4ZEfHq
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『時折、'Jump Switch'で三人目のDFが駆り出されることがあり、その場合は全員総出のローテーションになる。@OBRADOIROCABのこの動画例を見てほしい。スクリーン(※ボールスクリーン)に対する「クイック・ショウ」と「ネイル」DFによるハードな'Jump Switch'までは以前と同じだが、今回は三人目のDFによるローテーションがある。』
’Contact’ show at the point of the screen
拙訳:『スクリーン(※ボールスクリーン)に対して「コンタクト」ショウを行う』
'Nail' defender jump switches on to the ball
拙訳:『「ネイル」DFがボールマンへJump Switch』
Weakside corner rotates to next pass
拙訳:『ウィークサイド・コーナーのDFが次のパスに対してローテーション』
Original on ball defender "X" to corner
拙訳:『最初にボールマンについていたDFがコーナーへX-Out Rotationを行う』
Why use this tactic? 1) it allows screener's D to stay attached to roller so their is no pass for a dunk & no need for weakside tags (opening up the 3pt shot) 2) When D 'jump switches' aggressively at the right angle, and with a guard chasing from behind, its tough to 'pass on'. pic.twitter.com/NhWNniht2Q
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳: 『なぜこの戦術が用いられるのだろうか? 1) スクリナーDFがロールするプレーヤーについたままでいられるので、ダンクになるようなパスが通らないし、(オープン3Pが打たれてしまうような)ウィークサイドからのtagの必要がなくなる 2)DFが正しい角度からアグレッシブに'Jump Switch'を行い、ガードが背後からハンドラーを追い掛ければ、それを「掻い潜る」のは難しい』
Tough gap to get this pass through with off defender rushing at ball and on ball defender closing gap from behind
拙訳『ボールマンに殺到するオフボールDFと背後から距離を詰めてくるボールマンDFを掻い潜ってギャップを得るのは難しい』
So what are the problems with this style of defence? First up, if the 'nail' defender isn't in place to 'jump switch' hard you can give up a layup right down the middle of the floor as the screener's D is staying glued to his player and not offering help. See here: pic.twitter.com/hFejrh7D6I
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『では、このDFスタイルにはどのような問題があるだろうか? 第一に、「ネイル」DFがハードな'Jump Switch'を行える場所に居ない場合、(スクリナーDFは自分のマークマンをケアしていてヘルプに出られないので)フロア中央を割られてレイアップを献上することになる。こちらの動画クリップを見てほしい』
Secondly, the Jump Switch has to be EARLY, AGGRESIVE and at a STEEP angle (so that they have their full body in the passing lane). If it comes at a 'shallow' or 'flat' angle, the 'pass on' is too easy. See here. (NB, the third weak side defender also has to be ready to rotate!) pic.twitter.com/pwD6fFWRTi
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『第二に、Jump Switchは迅速、アグレッシブ、かつ深い角度で行われなければならない(そのため、DFはパスレーンに全身が入るようにする)。もし「浅い」角度、あるいは「平らな」角度で出てしまうと、簡単にパスされてしまう。こちらをご覧いただきたい。(注意:ウィークサイドの三人目のDFもローテーションの準備をしておかなくてはならない!)』
’Jump Switch’ is too flat of an angle so 'pass on' is easier
拙訳:『'Jump Switch'の角度がフラットすぎると、簡単にパスされてしまう』
How do teams beat the 'Jump switch'? One method is to use "Cut & Flare" action. The "flare" makes the 'Jump Switch' a longer rotation (both to the ball and recovering back). The 'cut' takes out the jump switchers 'buddy' (third defender) who is there to stunt/rotate if needed pic.twitter.com/ntZPgiwlXF
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『各チームはどのようにして'Jump Switch'を打開しているのだろうか? 一つの方法は、「カット&フレア」アクションを用いることだ。「フレア」カットにより'Jump Switch'のローテーション(ボールもリカバリーも)の距離が長くなる。「カット」によって、Jump Switchに際して必要な時にスタントorローテーションする「バディ」(三人目のDF)が取り去られてしまう。』
”Cut & Flare” action to take out third defender and make recovery rotations longer
拙訳:『「カット&フレア」アクションは三人目のDFを取り去り、リカバリーローテーションの距離を長くする。』
One last point, teams are also use the 'Jump Switch' with off ball screens. Here's @OBRADOIROCAB using it to take away a cutter's advantage he created off a stagger screen. They 'Jump Switch' on to him from corner shooter, and then cutter's D rotates/contests the 'pass on' 3pt. pic.twitter.com/V05KVUtZJd
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『最後に一つ、各チームはオフボールスクリーンに対しても'Jump Switch'を利用している。以下の動画クリップで@OBRADOIROCABは、Staggerスクリーンによって作られたカッターの優位を'Jump Switch'によって除去している。コーナーシューターからカッターへ'Jump Switch'し、カッターDFがコーナーへローテーションして、パスからの3Pにコンテストした。』
And here again is the 'Cut & Flare' tactic used by the offence against the 'Jump Switch' in the same off ball/stagger screen scenario. {END THREAD} pic.twitter.com/UbyPJZoaz8
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) February 2, 2019
拙訳:『そしてここでもまた、同じオフボール/Staggerスクリーンのケースにおける'Jump Switch'に対して「カット&フレア」戦術が利用されている』
ポイントをまとめると、
・PNRハンドラーに対して他のアウトサイドDFがスイッチし、ハンドラーDFがウィークサイドへとスイッチorローテーションするスイッチシフトのことを”Jump Switch”="Wall"と呼ぶ。
・コンタクト・ショウDFやドロップDFといったボールスクリーンDFと組み合わされて用いられる。
・「ロールへのパスが通りにくい」、「ウィークサイドでオープン3Pになるようなズレが発生しにくい」、「ボールハンドラーに強いプレッシャーがかかる」といった利点がある。
・ただし、他のアウトサイドDFがきちんとJump Switchに出られる場所にいないとハンドラーへのJump Switchが遅れてペネトレイトされてしまうし、ハンドラーへのJump Switchの角度やタイミングが悪いと簡単にパスをさばかれてしまう。
・Jump Switchに対するカウンター戦術として、ウィークサイドの二人の内、遠い方が中へカッティングし、近い方がコーナーへフレアカット(フェイドカット)する「カット&フレア」というものがあり、ローテーションの距離を引き延ばすことでズレを作り出すことが出来る。
・ボールスクリーンDFだけでなく、StaggerなどのオフボールスクリーンのDFでもJump Switchは活用されており、またオフボールスクリーンでのJump Switchに対しても、「カット&フレア」によるカウンターが有効である。
(以上)
過去のスイッチDF関連記事一覧
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今回は、PNR(ピック&ロール)関連の拙togetterを紹介していこう。
上記togetterはCoach Liam Flynn (@coachliamflynn)による『'short' PNR』についての一連のツイートをまとめたものだ。
'short' PNRとは、PNRの際、ボールスクリーンをしない方の(シュート力の低い)ビッグマンが、ボールサイドの"ダンクポジション"(ショートコーナー辺り)に移動し、スクリナーがロールするスペースを作るコンセプトのことを指す。
一部ツイートを抜粋していこう。
Whilst it's much easier to play the Pick and Roll when your non-screening big can shoot the ball, what happens if he/she can't? Seen a bunch of teams 'shorting' the PNR lately, meaning they place their non screening big (who can't shoot) in ballside dunker position. See here: pic.twitter.com/yl7OXTTfZ6
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) January 28, 2019
拙訳:『スクリナーでない方のビッグマン(non-screening big)にシュート力があればピック&ロールは簡単になるが、シュート力がない場合はどうなるだろう? 以下で複数のチームの'shorting' PNRを見ていこう。これは(シュート力のない)スクリナーでない方のビッグマンがボールサイドのdunker position(※ショートコーナーあたり)に位置取るプレーのことである。これを見てほしい』
Non screening big (who is a nonshooter from 3pt) goes to ballside short corner
拙訳:『(3Pの打てない)スクリナーでない方のビッグマンはボールサイドのショートコーナーへ向かう』
With the non screening big placed on the ballside in an attacking position close to basket
拙訳:『スクリナーでないビッグマンはボールサイドでバスケットに近い攻撃的位置(attacking position)に位置取る』
And a shooter spacing the floor on the same side as the roller
拙訳:『シューターはローラーと同じサイド(※コーナー)に位置取る』
...the defenders are forced to be accountable to their match up
拙訳:『...DFはそれぞれのマッチアップへのケアを強いられる』
Therefore a pocket is created for the screener to roll into
拙訳:『このため、ロールしたスクリナーのためのスペースが生まれる』
Here's another example from @BasketballCL team, @JerusalemBasket. You can see the non-screening big works in tandem with the screening big - he cuts along the baseline as the Mid PNR occurs. This opens up the pocket for @Amareisreal to roll into. pic.twitter.com/G4uXI0iAdp
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) January 28, 2019
拙訳:『こちらは @BasketballCLのチーム、@JerusalemBasketからの一例だ。スクリナーでない方のビッグマンがスクリナーのビッグマンと連携し、ミドルPNRの発生に合わせてベースライン沿いをカッティングしているのがわかるだろう。これにより、@Amareisreal がロールするスペースが生まれた。』
As the Mid PNR is being played up top...
拙訳:『トップでミドルPNRが発生した際...』
...Non screening big circles to ball side short corner...
拙訳:『...スクリナーでない方のビッグマンがボールサイドのショートコーナーに入る...』
This opens up pocket for screener to roll into
拙訳:『これにより、スクリナーがロールするスペースが生まれる』
Low defender is late on rotation and fouls
拙訳:『DFはローテーションが遅れ、ファールしてしまう』
In this example, the defender of the non-screening big helps on the roller, opening up an easy dump pass for a dunk. Great read from @taethomas35 (non screening big) to anticipate the re-screen coming back his way (since the guard on the ball went under first PNR) and stay put. pic.twitter.com/h4zIrEL2od
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) January 28, 2019
拙訳:『この例では、スクリナーでない方のビッグマンについていたDFがロールに対してヘルプに出たので、スクリナーでない方のビッグマンがオープンになり、簡単なダンプパス(※ダンプパス、ないしダンプ・オフ・パスは、ゴール付近でのアシストパスのこと)とダンクが生まれた。@taethomas35(スクリナーでない方のビッグマン)の読みが素晴らしく、彼は(ボールマンについているガードが最初のPNRをアンダーしたので)リ・スクリーンが発生することを予測して引き返し、同じ場所に留まった。』
The guard playing the PNR also has the option to pass directly to the non-screening big who is hiding in the short corner if the defence makes a mistake. See this @Pacers clip, the D on the non-screening big rushes up on the roller opening up a dunk for @leafsquad22 #NBATwitter pic.twitter.com/yLSDMtPtgR
— Coach Liam Flynn (@coachliamflynn) January 28, 2019
拙訳: 『PNRを行っているガードは、DFがミスした際に、ショートコーナーに隠れているスクリナーでない方のビッグマンへ直接パスするという選択肢も併せ持っている。この@Pacersのクリップを見てほしい。スクリナーでない方のビッグマンのDFがロールのケアに向かったことで、 @leafsquad22(※スクリナーでない方のビッグマン)のダンクがオープンになった。』
―――――――――――――――――――――
これはHouston Rockets Spread Pick & Roll - YouTubeを題材に、ビッグマンによるボールスクリーンの掛け方についてピックアップしたtogetterになる。
①ハンドラーDFの”裏側”にスクリーンをセットするBottom Half
②バックコートからのボールプレッシャーに対して高い位置にフラットスクリーンをセットするHigh Flat
③ハンドラーDFのスタンスに合わせて角度変更する"flip"
④ハンドラーのペネトレイト成功に合わせて(ハンドラーDFを引っ掛けずに)早めにロールするEarly Roll
という4つのコンセプトをまとめている。
【追記(2019/5/12)】
この4つのコンセプトに関する動画を作成したので、ぜひ一度ご覧いただきたい。
→ Ball Screen 4 Basic Skills - YouTube
ツイートを適宜抜粋していこう。
①Bottom Half
ファストブレイク記事 https://t.co/hGNSk71gM8 で紹介したダントーニのクリニックノートにも書かれていたことだが、ハンドラーDFにオーバーを強制し、2on1をスムーズに作るために、スクリナーがハンドラーDFの"裏側"(Bottom Half)からスクリーンを掛けることを推奨している。以下はその一例。 pic.twitter.com/Ny9quYfMcp
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
これはかなり重要な場面で、最初カペラがLateral(横側)にスクリーンを掛けていたのを、一旦間を置いてBottom Halfに修正させてアタックしている。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
これにより、一層確実に2on1に移行している。 pic.twitter.com/JqxnQWjrxj
Bottom Halfの掛け方として、ハンドラーと少し離れたところにセットする、というパターンもある。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
近い位置にBottom Halfをセットすると、ハンドラーDFが比較的ファイトオーバーしやすい。
しかし、やや離れた位置(斜め下あたり)にBottom Halfをセットすると、ファイトオーバーは困難となる。 pic.twitter.com/kAmcr1kFHd
Dragをする際にハンドラーより後方からスタートした場合も、きちんとハンドラーより十分に前方まで回り込んで、丁寧にBottom Halfからセットする。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
HOUのビッグマン達にはこの原則がかなり強固にシェアされている。 pic.twitter.com/8VQUjzkb7Z
なお、十分に3Pラインに近くて、相手が最初からアンダーを行う可能性が低い(オーバー、ないしファイトオーバーを狙ってくる可能性が高い)場合は、Bottom Halfではなく、映像のようにLateralを選択することになるので、この使い分けは必要。 pic.twitter.com/Uu6VL0WH8u
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
ポイントをまとめると、
・ハンドラーDFの裏側("Bottom Half")にボールスクリーンをセットすることで、ハンドラーDFにオーバーを選択させ、2on1を作ることが出来る。
・Dragなどでスクリナーが後方からエントリーする場合も、ハンドラーDFの背後までしっかり回り込んでから、Bottom Halfにスクリーンをセットする。
・Bottom Halfにスクリーンをセットする際、少し離れた場所にセットすることで、相手のファイトオーバーを抑止できる。
・ハンドラーが3Pラインに近く、DFがそもそもアンダーを選ばなさそうな場合は、Bottom HalfではなくLateral(横側)にセットする方が好ましい。
②High Flat
ハンドラーがバックコートからピックアップされたり、プレッシャーを掛けられている場合は、映像のように、センターライン近くまで上がってきてFlat Screenをセットすることで、極めて迅速に有利盤面を作り出すことが出来る。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
このコンセプトを、私は便宜的に"High Flat"と呼んでいる。 pic.twitter.com/dVIAIS5OHD
これも"High Flat"の一例。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 14, 2019
ハンドラーDFが一人だけでハンドラーへプレッシャーに来るDFの場合、このHigh Flatの餌食になりやすいとまで言えよう。
High Flatをセットしていたカペラが迅速にターン&ダイブして、フィードやプットバックに対応しているところも地味に重要ポイント。 pic.twitter.com/wluRmsLVRQ
このHigh Flatは、センターラインはおろか、(DFの視野狭窄を利用しつつ)バックコートでセットされている。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
Flat Screenは、仮にアンダーされてもハンドラーDFとのFoot Raceで優位に立てる(参考→「アンダー対策としてのフラットスクリーン」 https://t.co/G2qGQCnWrx )ので、こういった状況に有用。 pic.twitter.com/eorD4On1lh
ポイントをまとめると、
・ハンドラーDFがバックコートから(一人で)プレッシャーをかけてくる場合、高い位置にフラットスクリーンを仕掛ける("High Flat")ことで、簡単に2on1を作れる。
・仮にアンダーされても、ハンドラーがFoot Raceの面で有利になる。
・スクリナーは迅速にターン&ダイブ(ロール)して2on1を作り、パスのレシーブやプットバックを狙う。
③”flip”
次に"flip"(スクリーン角度変更)というコンセプトを見ていこう。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
最初に掛けたスクリーンに対して、(アイスやファイトオーバーのために)スクリーンの上を回られる場合、映像のように迅速にスクリーンの角度を変更することで、より有利な2on1に移行可能になる。 pic.twitter.com/DT9HcYkPrA
Wedge Roll(スクリナーがあらかじめオフボールスクリーンを使ってからピックに向かうプレー)からの"flip"。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
ハンドラーがドライブを始めるタイミングが重要で、スクリナーの角度変更に対して遅すぎず、早すぎず。
(遅すぎるとハンドラーDFが対応しやすいし、早すぎるとスクリナーがファウルになる) pic.twitter.com/1bJFkCNgl9
ポイントをまとめると、
・アイスやファイトオーバーといった、スクリーンの上を回ることでボールスクリーンを無効にしようとするDFに対しては、スクリーンの角度変更("flip")を行うことでハンドラーDFをより確実に引きはがすことが出来る。
・”flip”に対してハンドラーのドライブが遅すぎるとDFが容易に対応できてしまうし、ドライブが早すぎるとスクリナーのファウル(イリーガル・スクリーン)になってしまうため、角度変更に対するドライブのタイミングが重要になる。
追加の関連togetter:ピック&ロール…ファイトオーバーに対する”flip”(スクリーン角度変更) - Togetter
④Early Roll
次に取り上げるのは、「"P&RからPickを取り去る"という革命」 https://t.co/VqoPJLwkna でも紹介したEarly Roll。(他にも https://t.co/CzMLvIyjbl など参照)
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
スクリーンに当てる(Hit)ことに固執せず、ハンドラーDFにオーバーのスタンスを取らせたなら、即座にロールに移ることで優位を作れる。 pic.twitter.com/XHi1CKMp79
ハンドラーDFがオーバーのスタンスを取れば、スクリナーがハンドラーDFを引っ掛けなくてもハンドラーがそのままペネトレイトできるので、迅速にEarly Rollすることが望ましい。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
下映像は、Early RollによってコーナーDFによるtagを強要し、コーナーへのスキップパス&3Pとなったパターン。 pic.twitter.com/M44LHE13Lc
Early RollからのRoll&Replace。(Single Side Bump Actionとも。詳しくは→ https://t.co/hGNSk71gM8 )
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
スクリーンは仮に掛からなくても、ハンドラーDFにこのスタンスを取らせた時点で戦術的目標を達成出来ているというわけだ。 pic.twitter.com/2aowotlcoP
ポイントをまとめると、
・ハンドラーDFがオーバーを選択した時点で、スクリナーはハンドラーDFとのボディコンタクト(”Hit”)に固執せず、迅速にロールする(”Early Roll”)のが好ましい。それによって相手のDFに対して速度的・タイミング的に優位に立てる。
・Early Rollに直接パスが入るのが最も好ましいのは当然として、Early Rollに対応させた上でのスキップパスなども有効になる。
【追記:2019/2/28】
これはデアンドレ・ジョーダンとドワイト・パウエルという二人のプレーヤーを題材に、DFを攻略するにあたって機能しない悪いピックとは何か、逆に攻略に機能する良いピックとは何かについて考察したtogetterである。
ツイートを引用していこう。
DALから移籍したDJですが、
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
・DJのピックは微妙
・逆にパウエル(ドワイト・パウエル)のピックは上手い
という話をしたいと思います。
まずはDJの以下のシーン。
最終的にはRe-Screenでズレは作れていますが、最初のピックはダニー・グリーンに完全にファイトオーバーを許してしまっています。 pic.twitter.com/FCdcYDsgeJ
このDJのピックも、レナードにファイトオーバーを許してしまっており、スクリーンをセットする位置や角度(特に位置)に問題があると言えます。(いかにダニー・グリーンやレナードのDFが上手いとはいえ......) pic.twitter.com/u6aHBR0GGg
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
このDJのボールスクリーンもよくありません。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
『ピック&ロール…ファイトオーバーに対する”flip”(スクリーン角度変更)』 https://t.co/hbeEGwtfxF で紹介したように、この場合はハンドラーDF(レナード)のスタンス変更に合わせて迅速に"flip"すべきです。 pic.twitter.com/X2GKJIJXQ4
似たようなシーンでパウエル(ドワイト・パウエル)はどうしているかというと、https://t.co/tmiJCOotPLのように、スタンス変更に合わせた"flip"をそつなくこなしています。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
少し距離を空けてファイトオーバーさせづらくするという繊細な調整まで行っています。
このパウエルのピック(ボールスクリーン)も注目です。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
①適切な距離をとりつつ
②Bottom Half (DFの裏側)から
スクリーンをセットすることで、ハンドラーDFのファイトオーバーを阻止しています。 pic.twitter.com/4jEwXACwEK
このパウエルのピックも、
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) February 12, 2019
①適切な距離・位置
②適切な角度(Bottom Half)
が揃っており、これにより相手のDFを崩しています。
これらを総合すると、DJのスクリーンの拙さに比して、パウエルのスクリーンの上手さ(というより、そつのなさ)が目立つという印象です。 pic.twitter.com/J1fUpS7f5N
ポイントをまとめると、
・悪いピックの特徴は、「適切な距離が取れていない=密着しすぎており、ハンドラーDFに簡単にファイトオーバーを許してしまう」、「ハンドラーDFのスタンス変更に合わせたスクリーンの(迅速な)角度変更が出来ていない」。
・裏を返すと、良いピックの特徴は、「適切な距離が取れており、ハンドラーDFに安易なファイトオーバーを許さない」、「ハンドラーDFのスタンス変更に合わせた迅速な"flip"が遂行できている」。(加えて、「適切な角度=Bottom Halfにセットして、ハンドラーDFのファイト―バーorアンダーを抑止している」ことも重要)
(以上)
過去のボールスクリーン(PNR)関連記事一覧
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最近では専ら、ツイッターでの書き込みをtogetterにまとめるという形で情報整理・発信を行っている
今回は、Clearoutに関する二つの拙togetterを紹介しておきたい。
まず最初に、Clearoutについては、以下拙記事で紹介したことがある。
端的に言えば、ビッグマンがペイントエリアでシールすることによって、アウトサイドプレーヤーのためのドライブコースを確保するプレーのことであり、Seal Screenなどと呼ばれることもある。
今回は、特定のシチュエーションに絞ったClearoutをまとめた拙togetterを紹介していく。
ファストブレイク/トランジションにおいて、ビッグマンが先頭を走り、ペイントエリアでClearoutを行って、早いタイミングでポイントガード等のドライブ&スコアを作り出したパターンをまとめたtogetterである。
【追記:2019/5/12】
ファストブレイク/トランジションにおけるClearoutについてまとめた動画を作成したので、こちらも是非ご覧いただきたい。
→ Transition Clearout - YouTube
収録ツイートを一部抜粋していこう。
OKCvsDENから、OKCのトランジションOF。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) December 19, 2018
ウェストブルックのcoast to coastを裏でアシストするアダムスのClearoutに注目。 pic.twitter.com/wRwxd3eOCJ
UTAvsTORから、UTAのトランジション。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 9, 2019
ゴベールのダイブ&Clearoutにより、最終的にダンテ・エクサムのドライブ&ダンクを演出。
このように、トランジションでビッグマンがとにかくリムラン&シールをするだけで、トランジションでのアタックが格段に楽になる。 pic.twitter.com/RIIiceGmNB
WASvsOKCから、WASのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
トランジションでのDHO→Clearout(Seal Screen)
トランジションにおけるClearoutについてはhttps://t.co/pDnPdGpY5iを参照のこと。 pic.twitter.com/TzNlHCv55W
DALvsGSWから、DALのトランジションオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 20, 2019
DJが最後列からペイントまでダイブ&シールでClearout(Seal Screen)してマシューズのドライブを演出し、さらにこぼれたボールをプットバック。
ペイントまで走って、シールして、プットバックもして......地味で、単純で、そして一番大切な仕事。 pic.twitter.com/VMnYKQxumn
上記togetterでは、PNRやDHOを起点に発生した様々なClearoutをまとめている。
共通して一般に言えることは、ボールスクリナーのロール&シール(ダイブ&シール)は、スクリナーにボールが入らない場合でも、Clearoutという形で有効になるのであり、ボールスクリナーは常にこの選択肢を意識しなくてはならないということだ。
よくある”ミス”としては、ロールしてもパスを受けられなさそうだと思って、中間位置に留まってしまうというパターンがある。
実際には、簡単なLobや正面のシール以外にも、ドライブコースを作るシール(Clearout)というオプションがある以上、特にビッグマンがスクリナーの場合は、ペイントエリア深くまで迅速にロールすることが有効になる局面が多い。
【追記:2019/5/12】
PNRからのClearoutについてまとめた動画を作成したので、こちらもぜひ閲覧いただきたい。
以下に、一部のツイートを抜粋していこう。
DETvsNYKから、イシュ・スミスとザザ・パチュリアのPnR。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 29, 2018
パチュリアの教科書的なRoll→Clearoutを使ってイージーレイアップ。 pic.twitter.com/HlAJJMlhdC
OKCvsLACから、OKCアダムスのプレーに注目。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) December 20, 2018
Chicago Action(Pindown+DHO)から即座にRoll→Clearout。
ポール・ジョージのペネトレイトを上手くアシスト。 pic.twitter.com/3Tisx5chXr
DENvsHOUから、DENのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 16, 2019
ヨキッチのEarly Roll→Clearout(Seal Screen)。
ハンドラーDFがスタンス変更したのに合わせてスリップ気味にロール。
ドロップしているスクリナーDFの背後にシールし、ハンドラーのドライブコースを創出。 pic.twitter.com/g9wkats3Fr
ATLvsDETから、ATLのJail Clearout。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) December 27, 2018
ハンドラーのPut into the jailに合わせて、スクリナーがRoll&Clearout。
Jail Clearoutについて、詳しくはhttps://t.co/HxUTMqECrVの追記部分をどうぞ。 pic.twitter.com/uPEZ7Euu0v
UTAvsOKCから、UTAのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) December 27, 2018
シンプルなPNR→Roll&Replaceで、リプレースしたイングルスにパスが通った瞬間、ロールしていたゴベールがSeal Screen(Clearout)でイングルスの為にドライブコースを確保。
Roll&Clearoutを徹底してくれるビッグマンが居るとオフェンスはグッと楽になる。 pic.twitter.com/SFRYKweIQO
TORvsMILから、MILのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) January 15, 2019
PNR→Roll&Replaceにあわせて、ロールしたスクリナー(ロペス)がClearout(Seal Screen)をセットし、ドライブコースを作り出した。
PNRからのClearoutについてはhttps://t.co/1t4sZ1dIeDを参照のこと。 pic.twitter.com/3Ya8J0dfEa
GSWvsATLから、ATLのオフェンス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) December 7, 2018
Double Dragから、ロールしたプレーヤーのClearout(Seal Screen)に合わせて、ポップしたプレーヤーのドライブ&スコア。 pic.twitter.com/YP467Ghglu
(上記後半では特に、PNRハンドラーではなく、リプレースしたプレーヤーやDouble Dragでポップしたプレーヤーからなど、第三のプレーヤーによるドライブ、そのためのClearoutというパターンを取り上げている。)
これらの様々なClearoutを活用することで、ドライブ&スコアを一層創出することが可能となる筈である。参考になると幸いだ。
noteにて、シューターのためのムーブメント&セット、バスケットボール・ドリルまとめを販売中。是非ご購読を。
noteでは、バスケットボール戦術相談窓口 byMBTRも開設しています。こちらも是非ご利用ください。
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PICKANDPOP.NETから、これまでいくつかのクリニック・ノートを紹介してきた。過去のクリニック・ノート紹介は以下の通り。
今回は特にファストブレイク/トランジションにテーマを絞ってクリニック・ノートを紹介・解説していこう。
・個人的に注目した部分を抜粋し(太字部分)、それに個人的コメントを付加する。
・抜粋部の翻訳は基本的に意訳気味。
・(トランジションの際)どちらのサイドで攻めるか決めなければならない。中央部にボールをキープするのは禁物。
――理由についてこのノートには深く書かれていないが、考えられる理由としては①リムランするプレーヤーや、トレイルするプレーヤーのランコースを塞いでしまう、②Drag(トランジションでのボールスクリーン)へスムーズに移行しにくい、といったものが挙げられるだろう。
・ウィングプレーヤーはコーナー深くまで全速力で走る。何故か? もしウィングプレーヤーがフリースローラインの高さで止まってしまうと、ウィングDFはドリブルペネトレーションに対して絶好のヘルプポジションを取れてしまう。コーナーに居れば、自分のDFがヘルプに向かった際にワイドオープンショットを打てる。
――トランジションの際にコーナーまで走り切るべきだという話は、他のノートでも繰り返し出てくる基本的かつ共通の注意事項である。
5: レーンをオープンにしたいので、5は逆サイドのブロック(=ウィークサイド・ローポスト)に走り込むよりも、3Pライン外にステイするか、ブロック(=ローポスト)から一歩離れた位置に行くべき。
――後者はともかく、前者(3Pライン外)の提言には少し驚くだろう。しかし後に示すようにダントーニも似たような提言をしていて、コーチ陣的にはそれだけスペース確保の優先順位が高いようだ。ただ、最近ではStretch 4が普通になってきたので、5がDragして4がウィークサイド・ウィングに立つという形なら寧ろ自然と言えるだろう。
4: オンボールDF(=ハンドラーDF)がスクリーンをオーバーせざるを得ないような角度でピックを行う必要がある。(そうすれば、ヘッジDFはドリブルを守るか、ハンドラーとスクリナーの両方を守るかのどちらかを強いられる)
――これは後にダントーニも同じことを指摘している。Dragを簡単にアンダーされてしまうと、攻撃が停滞してしまうからだ。
2: 4のロールに合わせて、ウィングに上がる。(=Roll&Replace)
――基本的なRoll&Replace。トランジションでのDragは迅速にこの形を作れるのが強み。
・2がパスを受けてもバスケットに直接ドライブできなかった場合は、コーナー深くまでドリブルダウンして、ウィングに1を入らせ、1にリターンパスしてからピックに移行する。(4はボールサイド・ポストにダイブしてから、ウィークサイド・ローポストに移動して”Short”、つまり5のロールインへのパス中継(アングルチェンジ・パス)できる位置を取る。)
――1がウィングに入れるようコーナーにドリブルダウンすることと、下手に焦ってポストパスやウィークサイドへのスキップパスを狙わずにウィングに入った1にリターンしてPNRに移行することがポイント。よくあるミスは、①2がウィングに留まってしまい、1が入るスペースがなくなる、②2が焦ってポストパスやスキップパスを狙い、インターセプトされてしまう、の2つであり、これら2つを回避する構造になっている。
2は先ほど同様、5のロールに合わせてウィングへリプレースする。
――後にも触れるが、ジェントリーはsingle-side bump action、つまりコーナーに1人置いた状態からのPNR→Roll&Replaceという動きをかなり重要視しており、いかに素早くかつスムーズにこのアクションにもっていけるかが意識されている。
・アウトサイドプレーヤーが走り込んだサイドが被ったら、二人目が「押し込んで」、一人目のプレーヤーをウィークサイドコーナーへ移動させる。
――最初に走り込んでいる一人目のプレーヤーが状況に気付かず、二人目が走り込む場所(コーナー)がなくなってしまうというのがよくあるミス。全体の配置を随時把握して、適切なポジショニングを取るべき。
・シューターはボールスクリーンに合わせて動く。シューターDFがロールをtagするのに合わせてリプレースする。single-side bump action(コーナーに一人置いて、サイドピック→ロール&リプレースを狙うプレー)を常に狙う。これにより、シューターDFがどちらかを捨てざるを得ない状況を作る。
――先ほども述べた通り、ジェントリーはこのsingle-side bump actionをいかに作るかを重視している。もっとも、高いカテゴリーでは全体的に同じ認識だと思われる。
・ウィングは十分に外側を走りスペースを広げる。(図の赤の部分)
――物凄く当たり前のことだが、それでもわざわざ言うということは、それだけ重要だということだろう。
続きの部分ではDouble DragやStep-up screen、Versus ICEなどより具体的なオフェンス例について論じられているので関心あれば直接読んでみると良いだろう。
リバウンドルールと責任
・4か5がリバウンドを取った場合――取らなかった片方はリムランナーになる。(リムラン=その名の通りリムへ走ること)
・リバウンダーはポイントガードだけにアウトレットパスを出す。
・このため、ウィングは混乱することなく前に走り出せる。
――確かに誰がアウトレットパスを受けるかで混乱して、アウトレットが出せなかったり、ウィングの走り出しが遅れたりというミスはよくあるもので、これは防止されなくてはならないだろう。
・リムランナーは、タッチダウンパスが飛んできた場合の対応を意識しつつ、可能な限り深い場所までシールしに行く。
――余談だが、リムランナーのシールがClearout(Seal Screen)となってポイントガードやウィングのドライブをアシストする場面もよくある。
・1、2、3の誰かがリバウンドを取った場合。
・全員が(リバウンドを取ったら)ボールプッシュする。このポジションは全員は交換可能でなければならない。
・残り二人のガードは広くスペースを取って走る。両サイドをそれぞれ走る(”Split Sides”)か、同じサイドに二人走る(”Paired Side”)か。
・リムランナーを邪魔しないようにするため、コートを横切るのを禁ずる。(このため、ガード二人が同じサイドを走るという状況が発生し得るのである)
――あえてウィングがクロスして走り、相手DFのピックアップを混乱させるという戦術も一応存在することに注意。クロスする戦術も、クロスを禁止する戦術も、それぞれメリット・デメリットがあるということだ。
・完全に走り切り、コーナー深くまで行く。
・踵をサイドラインぎりぎりまで寄せ、スペースを確保。
・4、5が二人で競ってリムランを行う。
・前方へのパスを常に狙う。
・前方へのパスからのレイアップ(ウィングorリムランナー)
・前方へのパスからのドライブ&キック(逆サイドへのキックパス)
・前方へのパスからのポスト(ウィング→ポスト)
・ポイントガードは最初のドリブルをミドル方向について、ハーフコートを過ぎる前に前方へのパスを(出すかor出さないか、出すとしてどこに出すか)判断する。
・前方へのパスを出したら、パサーは逆サイドへカットアウトしなければならない。
・前方へのパスは同サイドウィングに出してもいい(”Down the Street”)、逆サイドウィングに出してもいい(”Across the Street”)。
・ただし、ウィング二人が同じサイドに走っている際(Paired Side)は、(レイアップ確実でもない限りは)パスを出してはならない。
・前方へのパスを出せない(出さない)場合は、ポイントガードをハンドラーとしたDrag(トランジションでのボールスクリーンプレー)に移行する。
(ポイントガードによる)Drag Screen
・リムランナーは逆サイドの、自分のシュートレンジまで移動。(3Pがレンジなら3Pライン外でも良い。)
・ポイントガードによるDragの場合は、Dragスクリナーは(仮にシューターでも)常にロール。
・前方にパスを出してからDragをする場合や、逆サイドにウィングが二人いる場合(Paired Side)は、Dragスクリナーはロールを自分のプレースタイルに合わせて選択。
他にも、「前方へパスした先のプレーヤーがハンドラーを不得手としているなら、Dragではなくポストパスやハイローを狙え」、「バスケット(リム)周囲ではDFを意識してバウンズパスをしろ」、「リムから2フィート(60cm)で貰ったら、ドリブルせずにそのままスコアに向かえ」など、いろいろと示唆に富む記述があるので興味あれば全編を読んでみると良いだろう。
・トランジションでは7-10秒でのオフェンス完成をチームの共有事項としている。
・トランジションでポイントガードがサイドチェンジするのは好まない。ポイントガードは同じレーンに留まるべきだし、そのために周りはカッティングしてスペースを作るべき。
・ポイントガードはトランジションにおけるリズム作りが重要。速ければ良いというわけでもない。
・トランジションの最初の三歩が大事。遅れはアドバンテージ喪失につながるので、ポゼッションが自分たちに移ったら即座に反応すべき。
・2、3はコーナーに全速力で移動。(広く走るのが鍵)
――誰も彼もが同じことを言っている。
・4がリムランするのは好まない。センターライン寄りかつ広がっているのが好ましい。
――先程触れたようにも、アルヴィン・ジェントリーと同じ提言。それだけスペースメイキングが重要視されているということ。
・(上左図は)ビッグマンにとって自然な角度だが、アドバンテージが作れない。
・(上右図は)望ましいスクリーン角度。ボールハンドラーの下側に回って、ハンドラーDFの裏側("bottom half")からスクリーンをかけることで、ハンドラーDFにオーバーを強要し、(スクリナーDFに対する)2on1を作ることが出来る。
――ハンドラーDFにオーバーを強要する浅い角度のスクリーンセットは、ジョン・ストックトンとカール・マローンのピックアンドロールはもう古い! byコーチPなどでも強調されており重要コンセプト。ただし、ファイトオーバーはされないように注意が必要。
・Dragプレー中にウィークサイドの二人が位置交換するのを好まない。ハンドラーは彼らがシュートの準備をしていることを望んでいるからだ。
――実際のところ、ボールスクリーンプレーにおけるウィークサイドの位置交換は有意義になり得る(参考リンク)ので、一概には言えない。
・スクリナーのルールは、ハンドラーDFの裏側にスクリーンセットしてハンドラーDFにオーバーを強要することと、スクリーンにHitさせたら即座にロールorポップに移行すること(Don't "Hold")。
――"Hold" Screenにもハンドラー主体で攻める場合は利点があるのだが、それはそれとして、ダントーニは Early Roll、Early Pop を志向しているということ。この点については、以前拙記事で紹介・解説したこともある。(参考リンク: "P&RからPickを取り去る"という革命)
・DHO(ドリブルハンドオフ)では、早めにガードにパスして走ってスクリーンに行った方が良い。
――手渡しにこだわると、手渡し際を狙われてインターセプトされるからだろうか?
・イリーガルスクリーンを吹かれるのはビッグマンのミス。もしハンドラーのドライブのタイミングが早すぎたとしたら、ハンドラーDFを避けてターン&ロールをすれば良いだけのこと。
――ハンドラーがDFを抜けているなら、スクリーンをかけなくてもでもスムーズに2on1に移行できるだろう。
・深い位置でのP&Rを好む。ポイントガードは2の居るサイドに入り(2はウィークサイドへカットアウト)、5はポイントガードを追いかけてボールスクリーンを掛ける。
――ハンドラーの攻めるスペースを増やし、スクリナーのロールへのtagを難しくするというところがメリットと思われる。
他にも、「狙いはいつも2on1を作ること」、「ボールスクリーンへのBlitzに対してはShort Rollで対応」(※Short Rollについてはこちらを)、「バスケットボールは読みのスポーツ。単に読みを教えるだけでなく、読みを理解し、読みが出来るようになるよう指導するべき」、「NBAのスカウティングも大抵は『相手がこう守ってくるから、ここがオープンになる』というもの」など、色々と示唆的な部分が多いので、関心あれば通読を勧めたい。
4:トレーラー
1:サイドライン際でアウトレットパスを受ける
2/3:サイドライン際、バレーボールライン以上に広がる。
5:リムランナー
我々はポイントガードを(ジャンプボール・サークル上を通過させつつ)クロスさせることを好む。
――クリス・マックとは全く逆のことを言っている。横切らせることのメリットについてOtzelbergerは解説していないが、ありそうなメリットとしては、両サイドへバランス良くパスを見ることが出来るといったことが考えられよう。(最初は同サイドへのパスを見て、次にコートをクロスしつつ逆サイドへのパスを見る)
ウィングはコーナーまで走り切ってDFと広げ、ドライブ可能なギャップを最大限作り出すべき。ウィングに止まってしまうと、十分なスペースが生まれない。
――逆のこちらは、どのコーチも雁首揃えて同じことを言っている。
リムランナーはDunk Spot(ベースライン沿いで、ハッシュマークの一歩外)に位置を取り、スペースを広げるべき。
――Dunk Spotは要するに下図の赤丸部分のこと。
トランジションでどう攻めるかはポイントガードが主導して決定する:
”Hit”…前方のウィングへパス
”Side”…ウィングとDHO
”Swing”…トレーラー(4)を経由してサイドチェンジ
”Drag”…ボールスクリーン
”Flip”…ミドル方向にドリブルしてトレーラーの4とハンドオフ
――それぞれのより詳細なパターンについては、実際にクリニック・ノートを読んでみることを勧める。
フレッド・ホイバーグのクリニック・ノートは以前既にこちらで取り上げたのだが、改めてファストブレイク/トランジションに当たる部分を取り上げたい。
トランジションについて
・トランジションにおける役割は以下の通り
5番=リムに走り込んで、マークマンを打ち倒す(beat your man down the floor)。
4番=リバウンドに向かう。
(4番/5番は相互に役割を交代可能)
2番/3番=指定された走行レーンはない(引用者註:平行に走っても良いし、クロスしても良いだろう)が、コーナー深くまで走り込む必要がある。それによってポイントガードのスペースが生まれる。もしウィングで立ち止まったら、PGのドライブレーンが混雑してしまう。もし1番がマークマンを抜けば、x2(2番のDF)やx3(3番のDF)はヘルプ(ローテーション)せざるを得なくなり、ワイドオープン・コーナー3Pが生まれる。
――この点に関しては、本当に猫も杓子も同じことを言っている。
・トランジションで第一にすることは、セカンダリーブレイクに入る前に、素早く得点できるようDFをよく観察することだ。
・我々は、DFがセットされる前にトランジション3Pを打つことを非常に良く好む。
――オープンの3Pを「狙うべきショット」としたら、それが最も実現しやすいのはトランジションであるということはGSWやHOUなどを見てもよくわかることだろう。
・トランジションでウィングにボールが入ったとき、インサイドのビッグマンがシールしているかどうかをよく見ておかなくてはいけない。――そうでないなら、ビッグマンを走らせる意味がない。
・我々はスペーシングを毎練習日で練習している。それが一番大事なことだからだ。
・我々はまた、トランジションにおけるDragプレー(=ボールスクリーン)を好む。それは即座にディフェンスへ圧力をかける。
クリニック・ノート紹介はとりあえず以上になる。
全体をおおまかにまとめよう。
・ウィング二人をコーナーへ走らせるのは全コーチ共通
この点に関しては、寸分の狂い無く全てのコーチが、ウィングプレーヤーによるコーナーへの迅速なスポットアップの重要性を主張していた。ドライブorリムラン出来るスペース(ギャップ)を作りつつ、ポイントガードがドリブルエントリーする場所を作るという点で、どのコーチもこのルールを最重要ルールの一つとして強調していた。
また、サイドラインぎりぎりいっぱいに広がる(広がりながら走る)ということも共通した強調事項だった。
・Dragの際、スクリナーは浅くスクリーンを掛けて、ハンドラーDFにオーバーを強要する。
これはジェントリーもダントーニも共通して強調していた。トランジションで迅速に2on1を作ることが、クイックスコアの重要ポイントだということだろう。
・インサイドでのスペーシングは、ベースライン沿いで、ペイントからある程度離れた位置(”Dunk Spot”)
ジェントリー、及びOtzelbergerが双方述べていたポイント。ドライブやロールのためのスペースを空けつつ、合わせやオフェンスリバウンドを狙えるポジションとして重要。
・4~5番がトレイルするか/アウトサイドにスペーシングするか、ポイントガードが中央を横切るか/横切らないかなど、細かいルールでは”個性”が出る。
どの方針が特別に優れているというわけでもなく、それぞれメリット/デメリットがあるので、各チームの方針に合わせて柔軟に設定すればよいだろう。重要なのは、それぞれのチームできっちりと固有のルールを作り上げ、共有するということである。
(以上)
noteにて、各種記事を販売中。(ピック&ロール関連、プレイブック、スイッチDF関連など) 是非ご購読を。
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バウンズパス(bounce pass)は、名の通り、バウンドさせてパスを出すスキルであるが、どのような性質を持ち、どのような場面で有効なのか、実際のシーンを取り上げながら解説していこう。
このシーンとか、「インターセプトされないためのバウンスパス」の典型的な場面だと思います。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) October 26, 2018
この二回のパスのどちらも、バウンスパスでなければインターセプトされていた危険性が高いです。そこをバウンスパスにすることでターンオーバーを回避していると。 pic.twitter.com/P1GagmlD4t
上記のシーンのように、バウンズパスは、①インターセプトを防ぐ、という効果を持っている。DFは通常、直線のパスを想定して、手を体幹の横側に出しつつインターセプトを狙うが、バウンズパスはその裏をかくことが出来るというわけだ。
次のシーンを見てみよう。
BOSvsPORから、PORリラードのパスをピックアップ。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 14, 2018
リラードのこのバウンスパスは、
①普通のパスならインターセプトされるところをバウンドさせて防いでいる
②レシーバーのアミヌの位置を、パスが通る位置に修正させている(直線のパスだとアミヌの修正が間に合わないが、バウンドによって間に合う) pic.twitter.com/Ade45JzBG1
ここでは、①インターセプトを防ぐ という一つ目の効能に加えて、味方の位置を修正させ、さらにバウンドによってレシーブさせやすくするという、第二、第三の効能があることが明らかになる。
この第二、第三の効能は、これから紹介していくシーンの数々と整合的に扱うため、②プレーヤーが進む先の「空間」に出す、及び③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい という風にまとめることにしよう。
さて、それでは次の3つのシーンをご覧いただきたい。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、バウンズパスならではのアシスト。
①インターセプトを防ぐ。
②プレーヤーが進む先の「空間」に出す。
③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい。 pic.twitter.com/GiGkcSUolU
同じく、Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から。
このバウンズパス(bounce pass)も、①インターセプトを防ぐ、②「空間」に出す、③レシーバーがタイミングを合わせやすい、の三つが揃っている。 pic.twitter.com/kOdxPEOUDB
さらに、Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、キッドのバウンズパス(bounce pass)。
何度も繰り返すが、①インターセプトを防ぐ、②「空間」に出す、③レシーバーがタイミングを合わせやすい、の3点が重要。 pic.twitter.com/7IQYmCknbT
今一度まとめると
①インターセプトを防ぐ(DFは基本的に直線のパスを意識してインターセプトを狙うため)
②プレーヤーが進む先の「空間」に出す(→味方OFが動きの中でレシーブ&スコアしやすい)
③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい(→レシーブの安定性が高まる)
バウンズパスは、使いこなすことが出来れば、インターセプトを防ぎつつ、動きの中での得点を生み出し、なおかつレシーブの安定性(安全性)も高めるという、多くの利点を持っているということになる。
次はビハインドバックパスとバウンズパスの組み合わせのシーン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
今度は、ビハインドバックパスをバウンズパス(bounce pass)で出すパターン。
ノーバウンドならレシーバーが反応できなくて取り逃がしてしまうタイミングであっても、バウンドさせることで、レシーバーが比較的安定して受け取れる。 pic.twitter.com/GwcNLEc0hT
https://t.co/AwS2s91OYaのルカ・ドンチッチのハイライトから、ルカのビハインドバック・バウンズパス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
基本的な発想は先ほど挙げたジェイソン・キッドのパスと同じで、バウンドさせることでレシーバーとのタイミングを合わせている。 pic.twitter.com/SkyNudM7EU
https://t.co/AwS2s91OYaのリッキー・ルビオのハイライトから、ルビオのビハインドバック・バウンズパス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
ノーバウンドで出すよりも、レシーブの安定感が段違いのはず。 pic.twitter.com/24tKS5MXra
ビハインドバックパスをバウンドさせて出すことは、③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすいという利点をより一層有効に活かす、優れたオプションになるというわけだ。
次は、タッチダウン・パスにバウンズパスを複合させるパターン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、タッチダウン・パスをバウンズパス(bounce pass)で出すパターン。
ノーバウンドで出す場合は一定の加減が必要だが、バウンドさせるなら強く出してもレシーバーは取りやすい。
強く出せる分スピードも出るので、インターセプトも難しい。 pic.twitter.com/hvoIgKZdOP
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— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、もう1例、タッチダウン・バウンズパス。
繰り返すが、強く出してもレシーバーが取りやすいことから、インターセプトのしづらさとレシーブの安定感を高次元で両立できるのがこのパスの強み。 pic.twitter.com/sjqvQJqrWf
これらのシーンでは、③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい から発展して、バウンズパスを利用することによって、強いハイスピードなパスと、レシーブ安定性との両立をはかっている。そして、インターセプトし辛く、キャッチミスも少ないタッチダウン・パスを生み出しているというわけだ。
最後に、タッチダウン・バウンズ・パスにさらにバックスピンを組み合わせるという発展パターン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、最後に発展編の、バックスピンをかけたタッチダウン・バウンズパス。
普通のロブパスよりもスピードを出せる上に、手前で一回バウンドするのはレシーバー的にも非常に取りやすい。 pic.twitter.com/kJhYObMooj
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、もう1つタッチダウン・バックスピン・バウンズパス。
普通のロブパスならインターセプトのあり得る配置でも通せる上に、レシーバー的にも取りやすいという一石二鳥のパス。(真似できるとは言ってない) pic.twitter.com/7xvOKse4As
ツイート内でも解説している通りだが、ロブパスならインターセプトされる配置やタイミングでも、バックスピン・バウンズパスなら、インターセプトを回避しつつ、レシーブ安定性も高めながらパスを通すことが出来る(場合もある)。
おまけ:ジェイソン・キッドはさらに、フロントスピンでゴール下まで転がすという妙技も発揮したことがある。実際に使えることはあまりないかもしれないが。
これはおまけ。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
Jason Kidd's Top 45 Assists! https://t.co/T8D1lOSbBv
から、(バックスピンではなく)フロントスピンをかけてゴール真下までスピードが落ちないようボールを転がし、味方に拾わせるという常軌を逸したアシスト。
理解は出来ても、咄嗟に使える判断力と胆力が必要...... pic.twitter.com/bZSiek7amL
2020/3/3 追記
上述した各種コンセプトと共通するコンセプトを多く紹介していらっしゃる動画として、以下をリコメンド。
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