noteにて、各種記事を販売中。(ピック&ロール関連、プレイブック、スイッチDF関連など) 是非ご購読を。
――――――――――――――――――
バウンズパス(bounce pass)は、名の通り、バウンドさせてパスを出すスキルであるが、どのような性質を持ち、どのような場面で有効なのか、実際のシーンを取り上げながら解説していこう。
このシーンとか、「インターセプトされないためのバウンスパス」の典型的な場面だと思います。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) October 26, 2018
この二回のパスのどちらも、バウンスパスでなければインターセプトされていた危険性が高いです。そこをバウンスパスにすることでターンオーバーを回避していると。 pic.twitter.com/P1GagmlD4t
上記のシーンのように、バウンズパスは、①インターセプトを防ぐ、という効果を持っている。DFは通常、直線のパスを想定して、手を体幹の横側に出しつつインターセプトを狙うが、バウンズパスはその裏をかくことが出来るというわけだ。
次のシーンを見てみよう。
BOSvsPORから、PORリラードのパスをピックアップ。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 14, 2018
リラードのこのバウンスパスは、
①普通のパスならインターセプトされるところをバウンドさせて防いでいる
②レシーバーのアミヌの位置を、パスが通る位置に修正させている(直線のパスだとアミヌの修正が間に合わないが、バウンドによって間に合う) pic.twitter.com/Ade45JzBG1
ここでは、①インターセプトを防ぐ という一つ目の効能に加えて、味方の位置を修正させ、さらにバウンドによってレシーブさせやすくするという、第二、第三の効能があることが明らかになる。
この第二、第三の効能は、これから紹介していくシーンの数々と整合的に扱うため、②プレーヤーが進む先の「空間」に出す、及び③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい という風にまとめることにしよう。
さて、それでは次の3つのシーンをご覧いただきたい。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、バウンズパスならではのアシスト。
①インターセプトを防ぐ。
②プレーヤーが進む先の「空間」に出す。
③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい。 pic.twitter.com/GiGkcSUolU
同じく、Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から。
このバウンズパス(bounce pass)も、①インターセプトを防ぐ、②「空間」に出す、③レシーバーがタイミングを合わせやすい、の三つが揃っている。 pic.twitter.com/kOdxPEOUDB
さらに、Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、キッドのバウンズパス(bounce pass)。
何度も繰り返すが、①インターセプトを防ぐ、②「空間」に出す、③レシーバーがタイミングを合わせやすい、の3点が重要。 pic.twitter.com/7IQYmCknbT
今一度まとめると
①インターセプトを防ぐ(DFは基本的に直線のパスを意識してインターセプトを狙うため)
②プレーヤーが進む先の「空間」に出す(→味方OFが動きの中でレシーブ&スコアしやすい)
③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい(→レシーブの安定性が高まる)
バウンズパスは、使いこなすことが出来れば、インターセプトを防ぎつつ、動きの中での得点を生み出し、なおかつレシーブの安定性(安全性)も高めるという、多くの利点を持っているということになる。
次はビハインドバックパスとバウンズパスの組み合わせのシーン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
今度は、ビハインドバックパスをバウンズパス(bounce pass)で出すパターン。
ノーバウンドならレシーバーが反応できなくて取り逃がしてしまうタイミングであっても、バウンドさせることで、レシーバーが比較的安定して受け取れる。 pic.twitter.com/GwcNLEc0hT
https://t.co/AwS2s91OYaのルカ・ドンチッチのハイライトから、ルカのビハインドバック・バウンズパス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
基本的な発想は先ほど挙げたジェイソン・キッドのパスと同じで、バウンドさせることでレシーバーとのタイミングを合わせている。 pic.twitter.com/SkyNudM7EU
https://t.co/AwS2s91OYaのリッキー・ルビオのハイライトから、ルビオのビハインドバック・バウンズパス。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
ノーバウンドで出すよりも、レシーブの安定感が段違いのはず。 pic.twitter.com/24tKS5MXra
ビハインドバックパスをバウンドさせて出すことは、③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすいという利点をより一層有効に活かす、優れたオプションになるというわけだ。
次は、タッチダウン・パスにバウンズパスを複合させるパターン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、タッチダウン・パスをバウンズパス(bounce pass)で出すパターン。
ノーバウンドで出す場合は一定の加減が必要だが、バウンドさせるなら強く出してもレシーバーは取りやすい。
強く出せる分スピードも出るので、インターセプトも難しい。 pic.twitter.com/hvoIgKZdOP
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、もう1例、タッチダウン・バウンズパス。
繰り返すが、強く出してもレシーバーが取りやすいことから、インターセプトのしづらさとレシーブの安定感を高次元で両立できるのがこのパスの強み。 pic.twitter.com/sjqvQJqrWf
これらのシーンでは、③バウンドさせることで、「空間」に出した際に、レシーバーがタイミングを合わせやすい から発展して、バウンズパスを利用することによって、強いハイスピードなパスと、レシーブ安定性との両立をはかっている。そして、インターセプトし辛く、キャッチミスも少ないタッチダウン・パスを生み出しているというわけだ。
最後に、タッチダウン・バウンズ・パスにさらにバックスピンを組み合わせるという発展パターン。
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、最後に発展編の、バックスピンをかけたタッチダウン・バウンズパス。
普通のロブパスよりもスピードを出せる上に、手前で一回バウンドするのはレシーバー的にも非常に取りやすい。 pic.twitter.com/kJhYObMooj
Jason Kidd's Top 45 Assists!https://t.co/T8D1lOSbBv
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
から、もう1つタッチダウン・バックスピン・バウンズパス。
普通のロブパスならインターセプトのあり得る配置でも通せる上に、レシーバー的にも取りやすいという一石二鳥のパス。(真似できるとは言ってない) pic.twitter.com/7xvOKse4As
ツイート内でも解説している通りだが、ロブパスならインターセプトされる配置やタイミングでも、バックスピン・バウンズパスなら、インターセプトを回避しつつ、レシーブ安定性も高めながらパスを通すことが出来る(場合もある)。
おまけ:ジェイソン・キッドはさらに、フロントスピンでゴール下まで転がすという妙技も発揮したことがある。実際に使えることはあまりないかもしれないが。
これはおまけ。
— 現代バスケットボール戦術研究(MBTR) (@MBTResearch) November 30, 2018
Jason Kidd's Top 45 Assists! https://t.co/T8D1lOSbBv
から、(バックスピンではなく)フロントスピンをかけてゴール真下までスピードが落ちないようボールを転がし、味方に拾わせるという常軌を逸したアシスト。
理解は出来ても、咄嗟に使える判断力と胆力が必要...... pic.twitter.com/bZSiek7amL
2020/3/3 追記
上述した各種コンセプトと共通するコンセプトを多く紹介していらっしゃる動画として、以下をリコメンド。
過去のスキル系記事