現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

「ボールムーブメント」―バスケットボール戦術クリニック ②―

0. ボールムーブメントの指針

・ボールムーブメントの目的は、ボールを動かすことで相手のDFをStretchさせたり、ストレスをかけたりすることで、オープンショットやイージーショットを作り出すことである。

・そのためには、相手DFの収縮⇔クローズアウトを強制する「インサイドアウト」が欠かせない。(どのようにインサイドにボールを置くか、が問題になる)

・また、インサイドアウトの後のパスorドライブの的確な選択が重要になる。

 

1. インサイドにボールを置く

ポストへのパス

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ポストへのパスは、インサイドへボールを入れる最も典型的なプレーだろう。

ポストへのディナイがあったとしても、図の通り、コーナー&ローや、スキップパス&ローといった形(パスを入れるアングルの変更)を取ることで、ポストにボールを入れることが出来る。

勿論、ポストマンがディナイの”裏”を取り、そこにロブパスを飛ばすというパターンもある。

 

ドライブ

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ドライブも、インサイドにボールを置く極めて単純な方法の1つである。

ボールハンドラーはこの際、ドライブしながらも、他のプレーヤーの動き、どこがオープンになっているかを正確に把握する能力が必要である。

 

 

カッティングへのパス

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オフボール・カッティングへのパスも、インサイドにボールを入れる手段の一つになる。こうしたオフボール・カッティングでは、カットマンがシュートに固執しすぎることが問題になりがちなので、カットマンは常にパス・パスアウトをオプションとして意識する必要がある。

 

 

 2. パスとドライブの選択

ドライブからのパターン例

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良いボールムーブメントの例として、ドライブからの展開例を記述してみた。

ウィング→コーナー、コーナー→ウィングのExtra passによってDFをクローズアウトさせ、インサイドにスペースを作ってからドライブインするという構図である。

当然のことながら、キックアウトおよびExtra passの段階でのシュートは常にファーストオプションとなる。

 

 

 

 

ロールインへのパスからの悪い

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ロールインへのパスからの悪い例。

二番目の図の場合は、3へパスしてx3をStretchさせる必要がある。

三番目の図の場合は、ヘルプサイドに残り4×2人が固まっている状態なので、ドライブ自体が望ましくなく、シュートを打つか、オフボールの動きを待つべきとなる。

 

 

ロールインへのパスからのパターン例

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ロールインへのパスからの修正例。

三番目の図では、ドライブ以外のオプションとして、再びインサイド(ポスト)へパスするパターンを記載した。

このパターンのように、ポストマンがそのまま貰う場合もあれば、Stretchしていた他のプレーヤーがカッティングして貰うパターンもある。(特に、コーナーからベースライン沿いに飛び込むパターンは頻出。ただし、息があってないと難しい…。)

 

 

3. リプレース / リターンパス

リプレース

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より良いボールムーブメントのために、より良いオフボールムーブが必要なのは当然のことだが、特にリプレースを取り上げよう。(Dragとも呼ばれることがある)

リプレースは文字通り、ドライブはPNRによって生まれるフリーエリアに新しいプレーヤーがSpot upする動きだ。ローテーションの関係上、このSpot upを完全にディナイすることが難しく、そのためペネトレイトからのスムーズなボールムーブのために欠かせない動きとなってくる。上図はドライブ、PNRについてそれぞれ例示したもの。

 

リターンパス

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コーナーまでボールを動かしたもののギャップを作りきれず…という場面は少なからず起こる。それに対して有効なコンセプトがリターンパスで、ウィングにボールを戻すことによって、上図のようにトップまで戻したり、あるいはサイドピックに移行できたり、という風にオフェンスを組み立てなおすことが出来る。もちろん、左右ウィング同士のリターンパス&PNRといった形も有効だろう。

 

 

参照ページ

mbtr.hatenablog.com