現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

”45 Go" / "Chicago" DHOシリーズ / その他注目セット

今回は、またしてもPICKANDPOP.netから、オフェンス関係の記事を紹介していく。

 

 

"45 Go"

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"45 Go"は、上図通り、(5のスクリーンを貰って)4がピック&スリップポップ、続いて5がPNRを仕掛けるオフェンス。

ポップする4を十全にケアする場合は、DF側から見れば1/5 PNRに対するローテーションの頭数が不足し、一方OF側から見ればスペースが広がることになる。(コンセプト的にはCelticsのStack Exitに近いものがあるかもしれない)

Thunderの45 Goは極めてシンプルな形だが、他の45 Goの形も紹介されている。

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上記はRocketsのPoint 2から45 Goに展開する形。4がポップした側のコーナーがClearになっており、5へのローテーションが困難になっているのが特徴である。2、3があえて『悪いスペーシング』を取って、1/5 PNRのスペースを確保しようとしているところもミソだ。

 

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こちらは、Zipperから45 Goに展開する形(35 Goになってないか? と思うかもしれないが気にしてはいけない)

Thunderの45 Goに比べると、各プレーヤーの移動が大きく、DFローテーションに対してストレスがかかる構造になっている。

 

 

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"Chicago" DHOシリーズ

pickandpop.net

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ElbowエントリーからPindown+DHOに移行するアクション。

このアクションは特に"Chicago"ないし、"Chicago play"と呼ばれて、多くのチームで採用されるようになった。

Chicago DHOの派生形は以下の通り。

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Chicago Flipは、トップでのハンドオフ&リターン(Flip)を経由してからElbowエントリーし、Chicago playに移行…と見せかけて、5/4のDHOを行うというプレー。(動画内では5は全くロールインしていないが、ここでロールインされたり、ロールインへのアングルチェンジ・パスを狙われたりすると厄介かもしれない)

Chicago Flareは、4→3 Pindownと見せかけた3→4 Flareで、その後FlareスクリナーがDHOに向かうという構造になっており、かなり意表を突けるパターンだろう。

 

先述したように、この"Chicago"アクションは他のチームでも運用されており、紹介記事内の動画でも一部まとめられている。(下の図はCelticsの運用例。)

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また、ボストン大学の"Chicago"運用も巧みだったので、この場を借りて紹介しておきたい。

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目まぐるしいポジションチェンジを伴うChicago playであり、最後の5/3 DHOをローテーションの混乱なくきっちりと守り切るのはそう簡単ではない。

 

Chicago playの他のバリエーションとしては、その前半段階であるPindownにおけるSlipムーブがある。以下はその一例。

 

 

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その他注目セット

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上記2記事で紹介されているセットから、特に私の目を惹いたものを抜粋していく。

 

 

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先述の45 Goに似た形から、Hammerに移行するオフェンス。

Hammerスクリナーもポップアウトするため、①Hammerユーザーの3 ②Hammerスクリナーの4 ③ボールサイド・ウィングにリプレースした2 と狙い所の豊富なセットとなっている。

 

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Zipper PNRと見せかけてキャンセル&スリップアウトし、元のサイドでSpain P&Rを行うセット。

動画内のチームはあまりうまく使いこなせていないように見えるが(失礼)、2→4→5や2→1→5といったアングルチェンジ・パスが狙えるほか、ロールインする5のケアをx3(3のDF)が行いがちな分、3へのスキップパスも狙いやすくなっている。

 

 

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5→2のStackエントリーから、5→1Rip、5Popからの5/3DHO、3/4DHO→4/5PNRという形。いわゆるWeaveからPNRへ展開するプレー。

まず最初に、5/3DHOのための広いエリアが確保されており、BackdoorやThroughといったオプションが狙える。

次に、DHO+PNRによってボールマンDFとローテーションの双方に強いストレスをかけている。4→2→5のアングルチェンジパスや、3のリプレースからの4→3→5のアングルチェンジパスもあり得るし、5のロールインをx1(1のDF)がケアするなら、1へのスキップパスも見ることが出来る。

 

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”Chicago”とヘルプサイドのフレアを組み合わせるムーブ。

x5がChicagoをケアし、x2がローテーションするだろうというDFの行動を予測し、それを突いたアクション。

 

 

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Zipperから、Veer(ボールスクリナーがすぐさまオフボールスクリーンに向かうプレー)とHammerを組み合わせたアクション。

コーナーとウィングのリプレースの両方でオープンショットが狙える技ありのセット。

 

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2のIverson Cut(AI)、3がスイングすると見せかけてヘルプサイドウィングにリプレース、その後の1/5 PNRに対し4がボールサイドウィングへリプレースといった手の込んだオフボールムーブによって、1/5PNRに対するローテーションが困難となっているセット。動画内でも、ロールマンの5とヘルプサイドウイングの3がオープンとなっており、守り辛さが窺える。

 

 

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5→3のスクリーン、4のダイブから、4→2 Ripを囮にして4がSlip inする。見事の一言。

 

 

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2-3ゾーンに対し、トップでのDHOにFlareを組み合わせ、さらにそのFlareスクリナーのスリップも狙ったもの。

スリップにスムーズに入った場合は、ペイントで即座にアウトナンバーが出来るのが一番の魅力。

 

以上。

 

 

オフェンス・セット紹介リンク

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