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今回は、筆者がおすすめするセットオフェンスを紹介していく。
最初に断っておくが、現代バスケットボールの基本的な動きで既に紹介したセットオフェンスや、スパーズ・モーション(Motion Weak, Motion Strong, Motion Loop)などは省略しているため、まずはそちらをご覧いただきたい。特に多くのHalf SetやHorns Setは、スパーズ・モーションと類似したセットアップが意識されている。
また、ムーブメントの用語も、現代バスケットボールの基本的な動きに準拠しているため、併読することをおすすめする。
Half Court Set
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Motion Weak Fist (0:24)
Motion Weakの形から、クロススクリーン・ユーザーの4がサイドピックに向かう形。
形式的にはWedge Rollと似た形となっている。ハンドラーがリジェクト・ドライブを行った場合、特にカバーしにくい構造。
Motion Weak Seal (0:44)
Motion Weakの本来の形(3→4のクロススクリーン)を崩し、3がシールする形。
インサイドよりもG-Fにサイズのギャップがある、ないしG-Fがポストプレーに長ける場合に有効なオプションである。
One Down (2:50)
Motion Strongの形から、4ではなく1がポストアップしてくる形。
1がポストプレーに長けていたり、1でミスマッチがあるときに有効なプレー。
Motion Weak Sealと似たコンセプトのフォーメーションである。
DHO STS (5:24)
Motion Strongと同じ起点から、Zipper Cut ⇒ 5→3DHO & 1→4クロススクリーン ⇒ 5→1ダウンスクリーン(STS)
①DHOを絡めることでパサー(3)へのプレッシャーを抑制している、②シューター(1)の移動範囲が通常のSTSより大きくケアしにくい、③1→4のクロススクリーンや、5→3のDHOによってミスディレクションされ、1のケアに遅れが生じやすい、といった特徴がある。
Drible Drag Pindown (5:49)
3&2のOverUnderに、5→1のDragを組み合わせたフォーメーション。
Invertの他にも、ボールサイドカットする3にそのまま入れて攻めるという崩しや、スクリナーの4がSlip inするといった崩しもあり得る。
Rip DHO (10:12)
Ripムーブの後、RipスクリナーがDHO(あるいはパス&ピック)を受けるフォーメーション。DHOをスルーして、Diveした3のポストにボールを入れるというオプション(Rip DHO Seal)がある。
RipやRubにおいて、スクリナーがDHOやパス&ピックを受ける形は頻用される。
Slice Double (11:09)
Motion Strongと同じ起点から、4&5→2のDouble Stagger ⇒ 4&5→1のDouble Staggerを行うフォーメーション。
地味に1 Seal (1のポストアップを狙う形)にもなっている他、1 Seal Clearout (Seal Screen) を利用して3がペネトレイトを仕掛けるという"崩し"もあり得るだろう。
Fist Spread Down (12:45)
2→5→1のWedge Rollと4→2のダウンスクリーンを組み合わせたフォーメーション。
4→2のスクリーンが囮となって、ボールハンドラー(1)がかなり深くペネトレイトできるほか、逆側の人の少ない方(WeakSide)へドライブする形の"崩し"も有効になる。
また、二番目の図のようにPNR(Fist)スクリナーがSlip Outして広いスペースを攻める形も有効である。
Veer (13:49)
Wedge RollをSlipして、ヘルプサイドのPindown(Away)に向かうフォーメーション。
それを崩してFloopyに移行するパターンもある。
Weave (15:12)
Weave=DHOを繰り返すフォーメーション。チームによって様々な形のWeaveセットがある。GSW Weaveの特色は、最後のWeaveにボールスクリーンをセットする点だろう。DHOにボールスクリーンを合わせる形は、Pistol Actionなどでもよく見られる頻出のムーブであり、ギャップが生まれやすい。
Boston Celtics "Indy Rip"
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DHO&RipからFlex(STS)へ移行するフォーメーション。
DHOに何かしらのスクリーンを組み合わせるというアイデア自体はPistol ActionやGSW Weaveにも共通するもの。
Spurs Shuffle
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サイドチェンジとRipの組み合わせ(Shuffle Motion)から展開されるオフェンス・フォーメーション。図の通り、最後の展開はSTSやStaggerが用いられ、その後は基本的にChase(左図の場合は4→3のPNR、右図の場合は4→1のPNR)に移行する。
Snap Series
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5Topからの1→5 Flipを起点にしたフォーメーション・シリーズ。
PindownやAway+PNR(Chicago play)、Rubなどの種々のムーブメントを利用した多様なフォーメーションを持つ。
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Point 2 Spain (9:36)
Point 2(4と5によるDouble Stagger)からSpain P&Rに移行するオフェンス。
Point 2は、極めてシンプルなシステムながら、引用先動画のような多彩な展開を持つフォーメーションである。
Point 2 Rip (11:02)
Point 2のBack door(Reject)パターンから、2→5 Ripに移行するフォーメーション。
2が自分のマークマンにも体を当てつつ、Screen your own man気味にセットするのがコツ。
Corner Series (Stunt STS) (43:53)
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1→4のFlipから、5→1のボールスクリーン、3→4のRip、5→3のSTSを組み合わせた形。
ちなみにCorner Seriesは、4にパスしてからの1→2 Awayが基本線で、1→4 Flipはセカンドオプション。
動画では5がDJなので、5が空けられて攻めづらくなっているが、5にシュート力のあるプレーヤーを配置するとより攻めやすくなるだろう。
Horns Set (Elbow Series)
Horns Rub
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HornsのElbowエントリーから、Rubに移行するフォーメーション。
Rubユーザーにボールが入らない場合にRubスクリナー(1)がハンズオフに向かうところまででワンセット。
Oklahoma City Thunder Horns Dive
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HornsのPNRエントリーからPop&Diveを行う形。
もう一人のダイブによって、Popへのローテーション(Big Switch)が抑制されるというところが肝。
Elbow away / Elbow away double (0:00)
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HornsのElbowエントリーから、AwayないしDouble Staggerに移行するフォーメーション。
構造自体は極めてシンプルであるが、現代バスケットボールの基本的な動きで強調したように、AwayやDouble Staggerにはそれぞれ複数のバリエーションがあり、これらをすべて守ることはほとんど不可能であることから、状況に応じて適切なバリエーションを用いることが重要になる。
Elbow Get (2:05)
HornsのElbowエントリーから、5→4 PNRに移行するシンプルなフォーメーション。
型通りPFにボールを入れるというわけではなく、そのラインナップで最も1on1の強い人物を4のポジションに置いて行うのが理想であり、一般的である。
Golden State Warriors - Elbow Boston
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Elbow away Doubleを起点にしたフォーメーション。
2がカリー、3がクレイ、4がKDという配置であるこの形から繰り出されるThree men playは、極めて守りづらい形となっている。
Elbow Quick
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Hornsからボールハンドラー(1)がWingにドリブルエントリーし、ElbowにパスしてからTwist→パス&3P or パス&ピック or DHO に移行するムーブ。
派生として、以下のように逆サイドで4→2 Awayを試みるパターンもある。
Elbow Flare
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Hornsエントリーから4→2スクリーンと3のサイドチェンジ、1→2→4でElbowにボールを置き、2→1 Splitから、5→2 Flareに移行するフォーメーション。
3のClearに加えて、2→1 Splitによるミスディレクションのおかげで、最後の5→2 Flareに大きなギャップを作りやすい。
5→2 Flareでは、相手のディフェンスの配置に応じたSpot upが必要である。
また、2のWiperムーブ、5のFlare Slipなども有効となってくるだろう。
Elbow Split Elevator
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Hornsの形からElbowにボールを入れSplitを行い、サイドチェンジの後にElevatorをセットするフォーメーション。
Elevator全般に共通する備考事項として、Elevatorユーザーがケアされるときは大体インサイドDFがSwitch Outしている場合が多く、Elevatorスクリナー(4or5)にギャップやミスマッチが起きていることがしばしばあるため、その部分を狙うことも意識する必要がある。
ATO Set
Golden State Warriors ATO Rip
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所謂Box Offenseの形から、Ripムーブに移行するATOセット。GSWの名物セットである。筆者的には4→1のFlare Screenも合わせればより狙いどころの多い形になると考える。
Golden State Warriors ATO Special "LA Rip"
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UCLA CutのユーザーがウィングへRipを仕掛ける形が主軸のATOセット。ボールサイドを手厚く守れば守るほど、後のサイドチェンジ&Step-up BallScreenが守り辛くなり、極めて守りづらいコンセプトのフォーメーションとなっている。
Chin (2:25)
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RipからPNRに移行するATO Set。4のダウンスクリーンによって2がより近い位置でボールを持てるようにしていたり、1がボールサイド・コーナーに入ることで3へのRobが通りやすくなっていたり、3のRobを5のマークマンにケアさせることで5→2のPNRが守り辛くなっていたり、5→2のPNRに対して4が(ウィングへ)Replaceしたりと、色々と考えられたフォーメーションになっている。
Zip Backdoor (0:51)
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Zipper Cutをケアされた際に、バックドアを狙うプレー。
これ自体が一つのセットというよりは、Zipper起点のすべてのATOセットに事前につけておきたいオプションであるというべきだろう。
Boston Celtics "STS" (2:12)
Zipper Cut ⇒ 5→2 Fist ⇒ 3→4スクリーンからの5→3 STSというフォーメーション。
このZipper⇒Fist⇒STSは、Zipper起点のオフェンス・セットとしてはかなりオーソドックスな組み合わせだが、守り切るのは難しい。
Rip Double (3:20)
2→4 Rip ⇒ 3&5→2 Double Stagger ⇒ 5→2 Chase
RipにSTS型のStaggerをかけるのも、StaggerからChaseに移行するのも、頻出のフォーメーション。
Zip Thunder Backdoor (4:22)
Zipper Cut ⇒ 1→2 Flip ⇒ 1→4 Thunder ⇒ 4→2 DHO-Backdoor
Zipper Cutからサイドチェンジし、Thunderを仕掛けるというコンセプトはかなり頻出。
最後のDHO-Backdoorは、当然他のDHOオプションやパス&ピックで代替できる。