現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

「DFコンセプト&カウンター」―バスケットボール戦術クリニック④―

  1. スイッチDFコンセプト

Post Switch “Scram”

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スイッチで発生するインサイドのミスマッチを、オフボールスイッチ(あるいは一時的なダブルチームを経たスイッチ)で解消するコンセプト。相手が4out1inでないと使い辛いという欠点はあるが、極めて重要。

 

Triple Switch (2 switches in a row)

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PNRでのスイッチと先のScramを組み合わせたコンセプト。PNRスイッチで発生するインサイドのミスマッチを、オフボールスイッチで解消する。

Scramでも同様だが、x1よりも相対的にサイズの大きいDF(例えばx3など)とスイッチしても有意義である。

 

 

Bigs switch (in PNR and Pindown Curl)

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PNR、ないしPindown Curl(Away Curl)に対して、ユーザー⇔スクリナーのスイッチに加え、ビッグマン同士のスイッチも行うことで、すべてのギャップを最小化するコンセプト。3out2inに対しては、ScramやTriple Switchよりこちらの方が効果的になる。

 

ICE to Switch

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ICEは、図の通り、PNRに際してベースライン方向にディレクションしながらソフトヘッジを行うDFだが、ICE to Switchでは、そこからスイッチに移行する。ICEからノーマルに戻るときのギャップを発生させないためのコンセプトで、これによる生じるミスマッチはScramで解消する。

 

Late Clock Switch-Out

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ショットクロックが残り少ないタイミングでのPNRに対し、元々のマークマンではなく、オフボールのG-FのDFがスクリナーDFとしてSwitch-Outするコンセプト。これにより、ギャップを最小化できる。相手はショットクロックの残りが少ないので、そのスイッチによるミスマッチを攻めるのは難しい。

 

  1. スイッチDFアタック

HITBACK

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ガード⇔ビッグマンのボールスクリーンでスイッチさせて、他のプレーヤーにボールを持たせてから、ガードOFvsビッグマンDFの「速さのミスマッチ」にボールを戻して攻めさせるコンセプト。

そのまま攻めさせるのではなく、一旦ボールを他に収めるのは「ビッグマンDFのヘルプDF⇔ボールマンDFの切り替えの遅さを突く」「他のプレーヤーにボールを持たせることで、そのDFを外へと引き出す」という二つの理由の為。

この後、同時に存在する「高さのミスマッチ(ビッグマンOFvsガードDF)」でオフェンスリバウンドを狙うのも重要になる。

 

Slip vs PNR Switch

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Slipは、スイッチDFの弱点となる典型的なオフェンススキル。見落とされがちだが、スイッチに下手に対応すると、スクリーンが設置されて居た側のカバーが薄くなり、ドライブしやすくなる。

 

Slip vs off-ball Switch

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オフボールスクリーン・スイッチに対しても、Slipは極めて有効になる。Slipを十分にケアしようとすれば、本来のユーザーに簡単にボールを入れることが出来たり、ボールマンのドライブに対しカバー・ローテーションが出来なくなったりする。(似たコンセプトとしてSlipを含むSplitも有効

 

“154” Action

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“154” Actionは4→1のPNRから、5→1のPNRに移行するプレー。図の通り、二回目のPNRを守るのが比較的鈍重なx4とx5になってしまい、平面のギャップが出来やすくなるという構造になっている。

 

Screen your own man

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スイッチDFでは、スイング&スクリーンにSwith-Out(画像では、x5が外へスイッチしてケア)を行うのが通常である。これを逆手に取って、5がx5(your own man)にスクリーンすることで、スイングしてきたプレーヤーに簡単にボールを入れることが出来る。

 

 

Bunch Formation (Stagger)

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図のような垂直なダブルスクリーンは、スイッチDFをしばしば混乱させる。また、5のSlip inや、x5へのScreen your own manを組み合わせることで、イージーショットやワイドオープンを作ることも出来る。

 

 

Backdoor (Reject)

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スイッチDFに対しては、図のようなBackdoor (Reject)ムーブも有効になりやすい。これを一度でも試行して警戒させれば、アウトサイドでのパス回しは格段 に楽になる。Backdoorを含むSplitも極めて有効

他にも…

SCREEN WITH WEAKEST DEFENDER'S MAN

一番ディフェンス力の弱い(特に、サイズが小さい)DFにマークされているプレイヤーがボールスクリーンを行い、わざと(スコア能力の高い)ボールマンへスイッチさせて、そのミスマッチを攻めさせるというコンセプト。

GSWvsCLEでは、このコンセプトによってレブロンvsカリーが作られ、レブロンが簡単に得点するという場面が散見される。

BIGS PUNISH SMALLS ON OFFENSIVE GLASS

スクリーン等によってビッグマンとガードのミスマッチが生じた際、ビッグマンがサイズ差を利用してオフェンスリバウンド→プットバックを試みるコンセプト。

 

追加

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  1. ゾーンアタック(ゾーンオフェンス)

Seal or Screen

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ゾーンDFは、それぞれのプレーヤーに固有のDFエリアがあるため、スクリーンによってDFエリアを制約することで、簡単に”フリーエリア”を作り、ワイドオープンを作ったり、相手に望まないローテーションを強制したりすることができる。

 

Stretch DF

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ポジションチェンジやスイングなどを用いて、ベースラインDFをアウトサイドへ引き出せれば、ペイントエリアにスペースを作ることが出来る。

(ちなみに、1-3-1は既にベースラインDFが引き出された状態にあたる)

図は、Stretch DFにSeal or Screenを組み合わせたパターン。

 

Punching or Penetration

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ドライブインによるPunchingで、相手にローテーションを強制させるコンセプト。ボールスクリーンを組み合わせることで、より容易にPunchingに成功しやすくなる。
また、Penetrationは「ベースライン・ドライブ」に弱いというゾーンDF一般の弱点を突くコンセプトになる。

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Motion / Flow (Overload)

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Motion / Flowは、図のようにハイポスト&ローポストを目まぐるしく移動しつつボールを動かして、生じるギャップを攻めるコンセプトで、Overloadと組み合わせることもある。日本ではとても流行しているコンセプトだが、ゾーンDFに極めて有効であるスクリーンプレーと組み合わせ辛いのが難点。

 

おまけ

実は、スイッチDFとゾーンDFは、かなり似通った構造を持っている。

Screen your own manが有効になるのは、「インサイド側に居るDFがそのままインサイドをケア、アウトサイド側に居るDFがそのままアウトサイドをケア」というスイッチDFの原則の裏を欠くからだが、これはゾーンアタックにおけるSeal or Screenのコンセプト(スクリーンによる各DFのDFエリアの制約)と極めて似通っている。また、Post Switch “Scram”が徹底されているスイッチDFでは、最低でも一人以上のビッグマンが常にインサイドをケアすることになり、ますますゾーンDFライクになる。

 

参考ページ

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

pickandpop.net

mbtr.hatenablog.com