現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

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基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

”Kick Out” Switch="Scram" Switchとそのカウンター / "Jump Switch"="Wall"について

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今回はtogetterから、スイッチDFに関するまとめを紹介していこう。

 

togetter.com

 

"Kick Out" Switch="Scram" Switchは、以前Golden State WarriorsのスイッチDFコンセプトでも紹介したことがあるが、スクリーンへのスイッチなどで発生したポスト付近でのサイズ・ミスマッチを、さらなるオフボールスイッチによって解消するコンセプトのことを指す。

このコンセプトに関するツイートを一部抜粋していこう。

 

 拙訳:『NBAにおける「キックアウト」スイッチ(@ZachLowe_NBA は「スクラム」スイッチと呼んでいる)については近年多くの議論がある。キックアウトスイッチはインサイドでのミスマッチからガードを守るためにオフボールでスイッチするというものだ。これはどのように機能するだろうか? 以下のスレッドをチェックしてほしい。』

Defence switches the 'Open Side' PNR

拙訳:『DFが「オープンサイド」PNR(※プレーヤーのいないサイドへのPNR)に対してスイッチする』

As 'big' rolls the 'small' into the post...

拙訳:『「ビッグマン」が「小さい」DFに対してロールしてポストに入った際...』

Weakside 'bigger' defender takes the roller

拙訳:『ウィークサイドの「よりサイズの大きい」DFがロールしたオフェンスをピックアップする』

...And the 'small' defender is "kicked out' to another 'less dangerous' match up

拙訳:『...そして「小さい」DFは「キックアウト」され、他の「危険度の比較的低い」マッチアップにつく』

 

拙訳: 『オフェンスがPNRの後に「ロール&リプレース」をしてくる場合は、一番簡単に「小さい」DFが「キックアウト」スイッチできる。ロール&リプレースとは、ロールするオフェンスがバスケットにダイブする際にもう一人のビッグマンがリフトするプレーのことだ。なぜ一番簡単にキックアウト・スイッチできるのかというと、「小さい」DFが「キックアウト」される際に移動する距離が短くなるからだ。@paobcgr のこの動画クリップを見てほしい。』

Defence switches the Mid PNR

拙訳:『DFがミドルPNRに対してスイッチする』

Efes run "roll & replace action" with their bigs

拙訳:『Efes(※スクリナーでない方のビッグマン)がビッグマン同士で「ロール&リプレース・アクション」を行う』

Creator's defender is 'kicked out' to big who replaces high

拙訳:『CreatorのDF(※ハンドラーDF)がリプレースしてきたビッグマンに「キックアウト」スイッチをする』

 

 拙訳『では、ウィークサイドのビッグマンがPNRの後にリプレースしてこない場合はどうなるだろうか? その場合、「小さい」DFはどこに向かうべきだろう? その例が@EuroLeague@FBBasketbolによるこの動画クリップである。ここでは、「小さい」DFはウィークサイドへ「キックアウト」スイッチを行っている。注意:ヨーロッパのバスケットボール界では、「キックアウト」スイッチのことは"3 way" switch、あるいは"triple" switchとも呼ばれている。』

Pick and Roll switch

拙訳:『ピック&ロールに対してスイッチ』

Opposite big stays low

拙訳:『もう一人のビッグマンはローにステイ』

So small is kicked out weakside

拙訳:『このため、「小さい」DFはウィークサイドへと「キックアウト」スイッチを行う』

 

 拙訳:『ガードを「キックアウト」するプレーヤーは、必ずしもビッグマンである必要はない。「小さい」DFに対して「より大きい」DFであれば良い。近くに居るなら、スモールフォワードがガードを「キックアウト」しても良い。これはコーナーに人が居るSlot PNRで起こる。@olympiacosbcのこの動画クリップを見てほしい。』

Defense switches the Slot PNR

拙訳:『DFがSlot PNRに対してスイッチ』

Small Forward kicks out the PG to his player and picks up the roller

拙訳:『スモールフォワードがPGを自分のマークマンへ「キックアウト」して、ロールするプレーヤーをピックアップ』

 

Ryan (@ry_nguyen) | Twitter(※いつの間にか鍵アカウントになっていたので内容だけ抜粋)

This is one good example to counter it. Here Trez kicks Lou Williams out when Dirk tries to post him, but Powell makes a ghost cut to the rim as soon as Trez leaves him rather than allowing the Clippers to dictate defensively. Now Mavs gets another mismatch they can attack.

 拙訳:『これは「キックアウト」スイッチに対するカウンターの好例の一つだ。DirkがLow Williamsにポストアップしようとした際、TrezはLou Williamsを「キックアウト」した。しかしPowellは、Trezが自身から離れた瞬間、(ClippersにDF指示をさせないように)密かにさりげなくリムへとカッティングし、これによってMavsは別のミスマッチ(※Powell vs Lou Williams)を作り、攻めることが出来た。』

 

 

ポイントをまとめると

・”Kick Out” Switch="Scram" SwitchはPNRなどのスクリーンに対するスイッチで生まれたサイズ・ミスマッチを、オフボールスイッチで解消するコンセプト。

・ビッグマンとスイッチできなくとも、「より大きい」DFとスイッチすることで、サイズ・ミスマッチをより小さくする。

・”Kick Out" Switchを行っても、ウィークサイドではサイズ・ミスマッチが残る場合があるので、カウンターとして、ウィークサイドのサイズ・ミスマッチを攻めるという手法がある。

 

 

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togetter.com

”Jump Switch”=”Wall”とは、PNRの際に①他のアウトサイドDFがハンドラーへとスイッチ。②ハンドラーDFが、スイッチしてきたアウトサイドDFの元々のマークマンへスイッチ という具合に、アウトサイド同士のスイッチでズレを最小化するスイッチDFコンセプトのことである。

以前、OF新コンセプト"Stampede"、DF新コンセプト"Wall"という記事で解説したので、そちらもご参照いただきたい。

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このコンセプトに関するツイートを一部抜粋していこう。

 拙訳:『@ACBCOMでは、あるピック&ロールDFが大いに普及し始めており、私はこれを”Jump Switch”と呼んでいる。これはPNRと関係ないプレーヤーを巻き込み、スクリーン(※ボールスクリーン)を使ってドライブしてきたドリブラーへハードにスイッチするコンセプトである。このカバーを説明するにあたって、@valenciabasket のこの動画クリップを見てほしい』

Guard forces ball into screen

拙訳:『ガード(※ガードDF)はボールマンに対してスクリーン利用を強要する』

'Contact' show from screener's defender

拙訳:『スクリナーDFは「コンタクト」ショウDF(スクリナーから離れないショウDF。スクリナーから離れるショウ DFだとスプリットを喰らうため)を行う』

Guard slips under the screen

拙訳:『ガード(※ガードDF)はスクリーンの下をすり抜ける』

'Nail' defender aggresively 'jump switches' on to the ball

拙訳:『「ネイル」DFがボールに向かってアグレッシブに'Jump Switch'を行う』

On ball defender switches on to the 'nail' defender's player

拙訳:『ボールマンDFは「ネイル」DFがついていたプレーヤーへとスイッチする』

 

拙訳:『この戦術(※"Jump Switch")を用いる各チームは、各チームのスクリーン(※ボールスクリーン)に対するカバー方法と組み合わせている(先程のクリップでは「コンタクト」ショウDFと組み合わせていたが、今回のクリップでは「ドロップ」DFと組み合わせている)が、ピックからドライブしてきたボールマンに対するアグレッシブな'Jump Switch'の技法は同じである。これが上手く実行されれば、オフェンスを完全に混乱させることが出来る』

Drop’ coverage at the point of the screen

拙訳:『スクリーン(※ボールスクリーン)に対して「ドロップ」カバー』

First defender removed from the PNR jump switches on to the ball

拙訳:『PNRに一番近いDFがボールマンに対してJump Switch』

On ball defender switches on to the open offensive player 

拙訳:『ボールマンDFがオープンなオフェンスへスイッチする』

 

 拙訳:『時折、'Jump Switch'で三人目のDFが駆り出されることがあり、その場合は全員総出のローテーションになる。@OBRADOIROCABのこの動画例を見てほしい。スクリーン(※ボールスクリーン)に対する「クイック・ショウ」と「ネイル」DFによるハードな'Jump Switch'までは以前と同じだが、今回は三人目のDFによるローテーションがある。』

’Contact’ show at the point of the screen

拙訳:『スクリーン(※ボールスクリーン)に対して「コンタクト」ショウを行う』

'Nail' defender jump switches on to the ball

拙訳:『「ネイル」DFがボールマンへJump Switch』

Weakside corner rotates to next pass

拙訳:『ウィークサイド・コーナーのDFが次のパスに対してローテーション』

Original on ball defender "X" to corner

拙訳:『最初にボールマンについていたDFがコーナーへX-Out Rotationを行う』

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拙訳: 『なぜこの戦術が用いられるのだろうか? 1) スクリナーDFがロールするプレーヤーについたままでいられるので、ダンクになるようなパスが通らないし、(オープン3Pが打たれてしまうような)ウィークサイドからのtagの必要がなくなる 2)DFが正しい角度からアグレッシブに'Jump Switch'を行い、ガードが背後からハンドラーを追い掛ければ、それを「掻い潜る」のは難しい』

Tough gap to get this pass through with off defender rushing at ball and on ball defender closing gap from behind

拙訳『ボールマンに殺到するオフボールDFと背後から距離を詰めてくるボールマンDFを掻い潜ってギャップを得るのは難しい』

 

 拙訳:『では、このDFスタイルにはどのような問題があるだろうか? 第一に、「ネイル」DFがハードな'Jump Switch'を行える場所に居ない場合、(スクリナーDFは自分のマークマンをケアしていてヘルプに出られないので)フロア中央を割られてレイアップを献上することになる。こちらの動画クリップを見てほしい』

 

 拙訳:『第二に、Jump Switchは迅速、アグレッシブ、かつ深い角度で行われなければならない(そのため、DFはパスレーンに全身が入るようにする)。もし「浅い」角度、あるいは「平らな」角度で出てしまうと、簡単にパスされてしまう。こちらをご覧いただきたい。(注意:ウィークサイドの三人目のDFもローテーションの準備をしておかなくてはならない!)』

’Jump Switch’ is too flat of an angle so 'pass on' is easier

拙訳:『'Jump Switch'の角度がフラットすぎると、簡単にパスされてしまう』

 

 拙訳:『各チームはどのようにして'Jump Switch'を打開しているのだろうか? 一つの方法は、「カット&フレア」アクションを用いることだ。「フレア」カットにより'Jump Switch'のローテーション(ボールもリカバリーも)の距離が長くなる。「カット」によって、Jump Switchに際して必要な時にスタントorローテーションする「バディ」(三人目のDF)が取り去られてしまう。』

”Cut & Flare” action to take out third defender and make recovery rotations longer

拙訳:『「カット&フレア」アクションは三人目のDFを取り去り、リカバリーローテーションの距離を長くする。』

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 拙訳:『最後に一つ、各チームはオフボールスクリーンに対しても'Jump Switch'を利用している。以下の動画クリップで@OBRADOIROCABは、Staggerスクリーンによって作られたカッターの優位を'Jump Switch'によって除去している。コーナーシューターからカッターへ'Jump Switch'し、カッターDFがコーナーへローテーションして、パスからの3Pにコンテストした。』

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 拙訳:『そしてここでもまた、同じオフボール/Staggerスクリーンのケースにおける'Jump Switch'に対して「カット&フレア」戦術が利用されている』

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ポイントをまとめると、

・PNRハンドラーに対して他のアウトサイドDFがスイッチし、ハンドラーDFがウィークサイドへとスイッチorローテーションするスイッチシフトのことを”Jump Switch”="Wall"と呼ぶ。

・コンタクト・ショウDFやドロップDFといったボールスクリーンDFと組み合わされて用いられる。

・「ロールへのパスが通りにくい」、「ウィークサイドでオープン3Pになるようなズレが発生しにくい」、「ボールハンドラーに強いプレッシャーがかかる」といった利点がある。

・ただし、他のアウトサイドDFがきちんとJump Switchに出られる場所にいないとハンドラーへのJump Switchが遅れてペネトレイトされてしまうし、ハンドラーへのJump Switchの角度やタイミングが悪いと簡単にパスをさばかれてしまう。

・Jump Switchに対するカウンター戦術として、ウィークサイドの二人の内、遠い方が中へカッティングし、近い方がコーナーへフレアカット(フェイドカット)する「カット&フレア」というものがあり、ローテーションの距離を引き延ばすことでズレを作り出すことが出来る。

・ボールスクリーンDFだけでなく、StaggerなどのオフボールスクリーンのDFでもJump Switchは活用されており、またオフボールスクリーンでのJump Switchに対しても、「カット&フレア」によるカウンターが有効である。

 

(以上)

 

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