現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

現代バスケットボール戦術研究(Modern Basketball Tactics Research)

基本ムーブメント、セットオフェンス、DFシステム、ゾーンアタックなどを日々研究・解説しています。

スキルメモ――リロケート、クロススクリーン・カウンター

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このブログは基本的に戦術をメインテーマにしているが、以下のようなスキルの紹介も過去に行っている。

mbtr.hatenablog.com

 

今回の記事も、タイトルの通り、基礎的なスキルの紹介を行っていく。

 

リロケート(Relocate)

www.youtube.com

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リロケート(Relocate)は、Re(再び)locate(位置を取る)という言葉通り、ペネトレイトを行ったハンドラーが、他にボールを預けてから、即座にコーナーやウィングにスポットアップするプレーである。

なぜこの動きでギャップが発生してしまうのか?

上図のように、PNRでカバーやスイッチが発生するケースや、純粋にペネトレイトされてカバーが発生するケースでは、ハンドラーDFは、基本的にはスクリナー、あるいは他の選手へのローテーションを見る必要がある。

その隙をついてハンドラーがリロケートを行うと、誰もハンドラーを見ずにワイドオープンになるか、あるいはカバーorスイッチを行ったビッグマンが慌ててシュートコンテストに向かうという状況が発生することになる。

 

このスキルに対するカウンターとしては、ハンドラーDFがローテーションを放棄し、ハンドラーのケアを継続するというものがある。実際、2017-2018シーズンのファイナルGSWvsCLEでは、カリーのリロケートに対してハンドラーDFがマークを続行して狙いを潰すという場面が多く見受けられた。

ただし、このカウンターにも弱点がある。当然のことながら、ハンドラーDFが何のローテーションも行わない以上、ハンドラー以外のポイントでギャップが発生する可能性が高くなる。

そうしたローテーションの崩れや数的不利を利用されて他で得点されるリスクと天秤にかける必要があるわけだ。

 

 

 

クロススクリーン・カウンター(Cross Screen Counter)

pickandpop.net

www.youtube.com

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クロススクリーンは、あらゆるレベルのバスケットボールで普遍的に行われるアクションの一つである。

上記紹介記事では、クロススクリーン・アクションにおけるベーシックな二種類のカウンターが紹介されている。

一つ目は、Lobである。

ユーザーDFがスクリーンに対してオーバーで先回りすることが予見された場合、ユーザーはクロススクリーンを使わず、裏のスペースへのロブパスを受ける。

この際、スクリナーがスクリーンの角度を変えるのも効果的である。

二つ目は、Sealである。スクリナーが、スクリーンをキャンセルしてそのままシールを行うプレーである。

なぜこれが有効になるか?

スクリナーDFは基本的に①ユーザーへのバンプを用意する、あるいは②クロススクリナーへのダウンスクリーンプレー(STS)への対応を用意するということを意識している。

こうした意識の裏をかき、スクリナーがシールに切り替えると、スクリナーDFは深い位置でのシールを許してしまったり、シールへの対応が遅れてドローファールされてしまったりする。これがSealの狙いとなる。

 

(以上)

ゾーンアタック紹介――Villanova, Providence, Knife Drive, Kansas

これまで、ゾーンアタック(ゾーンオフェンス)についてはいくつかの記事を執筆してきた。

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

 

上記拙記事を踏まえたうえで、お馴染みPICKANDPOP.netから、ゾーンアタックを紹介・解説していきたい。

 

pickandpop.net

www.youtube.com

 

Villanova大学のHCであるJay Wrightによるゾーンアタックセットがまとめられた記事・動画。

以下に紹介・解説していこう。

 

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上記は3-2に対するMotionオフェンスである。ポイントを順を追って説明していこう。

・最初の2と4の位置交換は、「あるエリアは特定の一人が守る」というゾーンの基本ルールの弱点を突いている。(オフェンス側から見て)左側のウィングはx2しか守っておらず、2と4の双方をケアすることは出来ないので、この動きでスムーズにパスが通る。4がボールを貰うまで、2がステイするというのも選択肢的にはアリ。

・4→2のパスに合わせて、5がヘルプサイドからボールサイドのローポストへ、4がトップからエルボーに入る。ヘルプサイドでは、1と3が位置交換して、3がトップに入る。4→2のパスでx4を引き出す(Stretchさせる)ことが出来ていること、x2のマークが4から2に移ることで、エルボーにダイブした4に直接、ないしローポストの5経由でボールが入るという寸法である。

・なぜx2が4を離してしまうのか? 基本的にx2がウィングのプレーヤーをケアする役回りで、ネイル周辺はベース側のDF(基本的にはx5)のケア範囲だという基本ルールがあるからだ。しかしここでは、x5はヘルプサイドからダイブしてきた5をケアするため、トップからダイブしてきた4を十分にケアできない。x5が5と4を両天秤で守っても、どちらかに通ってしまったら、5↔4のパス交換でイージーバスケットになってしまう。

(・余談だが、x1かx3がルールを破ってエルボーをケアしにいけば、ヘルプサイドの1と3に広いアウトナンバーが出来てしまう)

 

焦点は、位置交換を用いたサイドチェンジと、ウィングにパスを落としたトップのプレーヤーによるエルボーへのダイブである。「同じエリアに複数のオフェンスが居るとケアが不十分になる」「エリアを跨ぐ動きに弱い」といったゾーンの弱点を突くMotionなのである。

 

 

ウィングへパスを展開した際に、x4をStretchさせることが出来なかった場合のパターンもある。

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ダイブした4がヘルプサイドウィングに移動する形でサイドチェンジを行い、ベースライン側のDF(ここではx5)をStretchさせる。サイドチェンジを用いてベースライン側のDFをStretchさせるのは常套手段。そこからの形は最初と全く同じ。

 

以上は3-2に対するCamp Motionだが、2-3に対しては以下のような形になる。尤も、ベースラインDFを引き出した2-3は、3-2と似た陣形となるため、オフェンスの基本形に大差はない。

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次はボールスクリーンを用いるパターン。2-3に対してはこちらの方がよく用いられているようである。

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途中まではCamp Motionと同じ。ウィングにボールを落としてからのダイブを、x2が下がってケアする想定。

Camp Motionでエルボーに入らなかったときと同様にサイドチェンジを行い、そこからサイドピックに移行する。

この際、ヘルプサイドのウィングとコーナーが埋まっているのがミソ。

PNRをx2がケアせざるを得なくなる結果として、ヘルプサイドがアウトナンバーになる構造になっている。Camp Motionと連動したごく一般的なサイドピック型ゾーンアタックである。

 

 

次に、サイドピック&ポップとElbow Flashを組み合わせたShakeというパターン。

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1&4のサイドピック&ポップ、5のフラッシュ、3(ボールサイドウィング)のダイブの組み合わせである。

まず、5のフラッシュをx5、3のダイブをx3がケアした場合は、ポップした4がオープンになる。x3が3をケアせずにポップした4をケアしようとしたら、3へのロブパスが通ってしまう。

3のダイブをx5が下がってケアし、4のポップをx3がケアするなら、フラッシュした5にボールが入る(ヘルプサイドの2経由で5に入れるパターンもあり得る)。

フラッシュした5に入った場合、ダイブした3がヘルプサイド・ローポストまでスイングすることで、x4は2と3の二人のケアを強いられ、どちらかがオープンショットを打つことが可能になる。

また、ダイブした3がヘルプサイド・コーナーまでスイングすれば、オープンなコーナー3Pを作ることもできる。

 

サイドピック&ポップで、ポップした側にアウトナンバーを作るという形はサイドピックの基本形であるが、そこにフラッシュとダイブ&スイングを組み合わせることで、展開が多様になり、より守り辛くなっている。

ボールサイドのケアを疎かにすれば、ポップかダイブのどちらかにやられてしまうのに対し、ボールサイドをケアすればフラッシュからヘルプサイドのアウトナンバーを攻められてしまうという、あちらを立てればこちらが立たないという構造になっているわけだ。

 

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Providence大学のEd Cooleyのゾーンアタックセットの紹介。

 

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まず、1と2の動きとパスで、x1とx2をボールサイドに寄せる。

そこから、エルボーの4がダイブからヘルプサイドへのスイングアウト。(このタイミングでボールをトップに戻す。)

それに対して、3がフレアスクリーンをセットすると見せかけて、フラッシュを行う。

5は最初からヘルプサイドのローポストにステイしている。

実は、「フラッシュ、ゴール下、ウィングの三つでパス選択する」という点では、VillanovaのShakeと極めて似た構造を持っている。

VillanovaのShake同様、全てをケアすることは出来ない(アウトナンバーになっている)ので、三つのいずれかのポイントにボールが入ることになる。

 

 

次は、エルボーへのパスにスクリーンを組み合わせたGAPというセット。

 

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①がドリブルダウンするのに合わせて、3がZipper気味にトップにエントリーしてx2を引き出す。ここから1→3→2とパスして、ベースラインDFをStretchさせる。(「ドリブルダウン+ウィングからトップへカット+サイドチェンジ」によってベースラインDFを引き出すというパターンは超頻出なので覚えておいて損はない。)

ここで、ヘルプサイドウィングである1がエルボーに入るわけだが、そこにx1へのスクリーンを組み合わせるのが面白い。その際、3がトップからヘルプサイドウィングに切れることで、x1の視線を誘導しているのもポイント。

x1がそれを先読みしてエルボーに先回りした場合は、スクリナーの4がトップにポップアウトすることで、オープン3Pが打ててしまう。

 

 

次は、中心DFへのダウンスクリーンが特徴のWARRIORというセット。

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1→2→1のパス交換から、2がスイングと見せかけて、5→x5のダウンスクリーンに合わせてフラッシュ。

そこに4のスイングアウト+3のフレアスクリーンを組み合わせた形。

「DFエリアを制約するスクリーン」はゾーンアタックの基本コンセプトの一つだが、中心DFへの(ダウン)スクリーンと、ベースラインDFへの(フレア)スクリーンをダブルで組み合わせた構造になっている。

 

 

次は、サイドピックと中心DFへのスクリーンを組み合わせたSIDE BS RIP UNDERというセット。

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1/4のサイドピックから2に展開することでベースラインDF(ここではx3)を引き出しつつ、ヘルプサイドから中心DFへのRipをセットしてゴール下にオープンを作る形。

「ベースラインDFを外に引き出す」というコンセプトと「DFエリアを制約するスクリーン」というコンセプトを組み合わせたもので、ゾーンアタックとしてはかなりオーソドックスな代物。

 

 

次は、ボールスクリーンとダイブを組み合わせたPUSHというセット。

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1と2の動きとパスでx1とx2をボールサイドに寄せ、トップにボールを戻すのに合わせてヘルプサイド側からボールスクリーンをセット。

x5がドライブヘルプを見て、x4がウィング~コーナーをケアする隙を突き、4がローポストにダイブする構図。(既にこれまで見てきた通り、ベースラインに沿ってDFエリアを跨ぐダイブはゾーンアタックで超頻出。)

guard switchという形で、逆側のx2がドライブヘルプに入る場合は、2がワイドオープンになるためそこにボールを戻せばよい。

 

 

次は、中心DFへのDouble Ripが特徴のOKLAHOMAというセット。

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3と5がダブルスクリーンをセットして2がスイング。

次に3と5がDouble Ripをセットして4がダイブ。

2のスイングでベースラインDF(ここではx3)を引き出し、3と5のDouble Ripで中心DFのエリアを制約するという形。基本コンセプトを極限まで徹底した構造になっている。

 

 

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ベースラインDFを外に引き出してからギャップへのドライブを行うKnife Driveというコンセプト。

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ヘルプサイドのウィングとコーナーに一人ずつ配置し、パス展開やサイドピックでベースラインDF(ここではx3)を引き出した場合、図のようにx3はヘルプサイドコーナーへのパスをケアしつつクローズアウトしてくる。(もしケアしないならそのままヘルプサイドコーナーにパスしてコーナー3Pでよい。)

これに合わせて、3がx2とx3の間のギャップへカウンタードライブを仕掛ける。

これにより、比較的容易にペイントへ侵入でき、自分でのスコア、ないしヘルプサイドへのフィード等を狙うことが出来る。

 

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【追記:2018/10/22】

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カンザス大学の(デューク大学に対する)ゾーンアタックをピックアップ。

 

 

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サイドピック→サイドチェンジ・パスに合わせて、ヘルプサイド・ローポストに立っていた4が「中心DFへのスクリーン」を行い、スクリナーのロールがオープンになるという構造のセット。

二種類のスクリーンを組み合わせてイージーショットを作り出す、シンプルでありながら極めて巧妙なセット。

 

www.youtube.com

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サイドチェンジ・パス&スイングを行ってミスディレクションしつつ、最後はリターンパスからの「中心DFへのスクリーン」&Lobでスコア。

イリーガルスクリーンを絶対に取られないように、スクリナーがハンズアップを徹底するという手の込みようである。

 

(以上)

 

追伸:この他にも興味深い記事は多くあり、PICKANDPOP.NETのZone Offenseの項目は定期的にフォローしておくと良さそう。→ Zone Offense | PICKANDPOP.NET

 

 

Pistol Actionまとめ、Short Roll紹介、Late Switch vs Pick&Pop

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Pistol Actionまとめ

最近、MBTRのツイッターアカウントの方で質問箱を受け付けているのだが、思いの他Pistol Action(21 Series)に関する質問が多かった。(これまでの質問対応のまとめはこちら→バスケットボール戦術に関する質問箱まとめ - Togetter

そこで今回は、Pistol Actionのコンセプトとパターンについて紹介していく。

参考動画はこちら。

www.youtube.com

Pistol Actionとは、2番-1番を軸に、5番のスクリーンを組み合わせた3人で早い段階での得点を目指すEarly offenseの一種である。

以下に示すようなパターンがある。

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2番-1番のハンドオフ(ないしハンドオフ・フェイク)及びボールスクリーンに対し、5番がフレアスクリーン或いはボールスクリーンをセットする、という形が基本で、そこからWiperやWedge Rollといった様々な派生が生まれてくる。

実に多くのチームで採用されている超定番コンセプトなので、一通りの理解が必須であろう。

 

 

Short Roll紹介

Short Rollとはその字面通り、PNRにおいて、ロールインするプレーヤーが、短いロールイン(ペイントに入らない程度のロールイン)でパスを受け、そこからオフェンスを展開するというコンセプトである。

以下が参考動画。

www.youtube.com

www.youtube.com

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深くダイブするロールインよりもパスを入れやすい他、通常のエルボーエントリーよりもボールマン・プレッシャーが限定的であり、また相手がローテーションしている間にAttack or Passを行えるという構造があり、ロールマンの得点力&パス能力が高い場合は、極めて厄介なコンセプトである。]

 

追記:2020/4/6

参考動画を以下に追加する。

Short Roll Compilation - YouTube

 

 

Late Switch vs Pick&Pop

www.youtube.com

文字通り、Pick&Popに対して、Late Switchを用いて守るコンセプトである。

通常、スパーズのP&Rディフェンス(Drop, Late Switch, etc)で指摘したように、DropディフェンスはスクリナーのPopにあまり強くない。

ところが、ここでLate Switchを用い、ハンドラーDFがポップしたビッグマンへスイッチすることによって、ポップによるギャップ発生を抑制することが出来る。

通常のスイッチの場合は、スクリナーがそのミスマッチを用いてポストアップし、簡単に得点されてしまう。

しかし、Dropを基本とし、ポップに対してLate Switchを行うという形を取れば、通常のスイッチのようなサイズ・ミスマッチの利用は発生しない。

一応いくつかデメリットはある。

Late Switchするかしないかのコミュニケーション・ミスの発生の危険性は常にあるし、Late Switchされたことにハンドラーが気付けば、ハンドラーはそのままスピード・ミスマッチを1on1で攻めることが出来る。他にも、スクリナーのスリップ・ポップなどにはケアが間に合わず、ワイドオープンを作られやすい。

しかし、スクリナーがポップからのプレーを得意とするチームに対しては、基本的に有効なディフェンス・コンセプトとなってくるのではないだろうか。

 

 

以上。

 

「ショウディフェンスを崩す動き」を図解

今回は、度々引用している高坂晴耶(ミネソタ)さんの動画チャンネルの中から、「ショウディフェンスを崩す動き」という動画を図解付きで紹介していく。

 

 

ショウディフェンスを崩す動き~スクリナー編~

 

www.youtube.com

 

①スリップ

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相手がハードショウを行うとあらかじめ分かっている場合は、上記のようなスリップインが有効になる。

[スリップインに対してヘルプサイドDFがバンプしてくる場合は、ヘルプサイドのプレーヤーへのスキップパスを選択することも出来る。]

[また、スリップに対してx5が慌てて戻るようなことがあれば、もともとx5が居たコースがオープンになり、オープンになったコースでドライブすることが可能になる。DRIVE THE SLIPと呼ばれるコンセプトであり、スイッチアタックとしてもよく用いられる。

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DRIVE THE SLIPについては、詳しくはスイッチDFの攻略法 追加の方をどうぞ。]

 

②リピック

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相手がハードショウを行うということがあらかじめ分かっているとき、ボールスクリーンの方向を途中で変更して、ハードショウを無効にするコンセプトである。

(上図にも書いた通り、このようなボールスクリーンのアングルチェンジのことは、俗にflipと呼ばれることが多い)

 

UCLAカット

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UCLAカットのケアをさせることで、ボールスクリナーがハードショウを行うことを未然に防ぐと言うコンセプト。

[似たようなコンセプトとして、ボールスクリナーがあらかじめスクリーンを使用し、マークマンDFとの距離を作ってからピックに向かうというWedge Rollというコンセプトがある。

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Wedge Rollについては詳しくは現代バスケットボールの基本的な動きの方をどうぞ

これと全く同じコンセプトが、後半の「ハンドラー編②スクリーン・ザ・スクリナー」として紹介されている]

 

④ハンドオフフェイク

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相手がハードショウを行ってスクリナーの前のコースを空けたり、あるいはハードショウに備えて眼前のコースを最初から空け気味にしている場合、ハンドオフを行うフェイクからドライブを狙うことが出来る。

[その他、ハンドオフ、DHOの基本パターンについては、STSに対するスイッチ / Zipper SOBに対するスイッチ / DHOの基本オプションの方で紹介・解説したのでぜひご一読を]

 

⑤ポップアウト

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相手のハードショウに対し、ポップすることでオープンでボールを受けるコンセプト。

ロールインの場合は、ヘルプサイドDFによるパスカットのリスクが高まるので、こちらの方が用いやすい場面も少なくない。

 

 

ショウディフェンスを崩す動き~ハンドラー編~

www.youtube.com

 

①スプリット

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ハードショウしてくるDFがワンアーム以上離れている場合は、上図のように、スクリーンとスクリナーDFの間を割って(スプリットして)ペネトレイトすることが出来る。

 

②スクリーン・ザ・スクリナー

[スクリナー編③で紹介したWedge Rollと全く同じコンセプト。Wedge Rollを再掲しておく。]

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③切り返し

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スクリナーのロールインと並行して、ハードショウの反対側にドリブルを切り返すコンセプト。

[動画では、そのままロールインしたプレーヤーへのパスが選択されていたが、以下のように、Clearoutを併せてペネトレイトするというオプションもあるだろう。

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上図は、スイッチアタックの一種であるDRIVE IT BACKというコンセプトに似たものになる。

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DRIVE IT BACKについて詳しくはスイッチDFの攻略法 追加をどうぞ)

 

④中継役にパス

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ハードショウに際して、仮にスクリナーがオープンであっても、スクリナーに直接パスを出すのはプレッシャーの関係で難しいことが多いが、上図のように中継役を経由してアングルを変えることで、スクリナーに容易にパスを通すことが出来る。

[このコンセプトは、スイッチDFに対しても効果を発揮する。NBAでの実際の使用例をスキルメモ(スクリーンを掴む、ハンズオフの基本スキルとしてのレッグスルービハインドetc)にて取り上げたことがあるので、関心あればぜひご一読を]

 

 

以上。

 

 

高坂晴耶(ミネソタ)さんの関連記事は以下

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

STSに対するスイッチ / Zipper SOBに対するスイッチ / DHOの基本オプション

STSに対するスイッチ

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オーソドックスなCross Screen - Down Screen (Screen the Screener Action)に対して、スイッチを用いて守るコンセプト。

x2は4のケアをしなければならないこともあって、どうしても5のスクリーンを完全に回避するのは難しい。

x5がスイッチすることも不可能ではないが、5がオープンになったり、5対x2のミスマッチが出来る危険もある。

そこで、ヘルプサイドのx3が2へスイッチ、x2が3へスイッチすることで、ギャップやミスマッチを最小化できるのである。

 

 

Zipper SOBに対するスイッチ

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Zipper Cutを用いたSOB(Sideline out of bounds、サイドセットのこと。SLOBとも)に対するスイッチDFコンセプト。

上図の通り、Zipper Cutした2にボールマンDFのx1がスイッチ、ボールマンの1に対してx2がスイッチする。

毎度行うのではなく、接戦の試合の終盤といったここ一番で用いる。

5のシールに結局入ってしまうことも少なくないが、相手のSOBを大きく妨害できる優れたコンセプト。

 

その他、スイッチDFに関する記事紹介

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

mbtr.hatenablog.com

 

 

DHOの基本オプション

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DHOは、頻出のアクションだが、いくつかの基本パターンがある。

まず、ユーザーDFが完全にアンダーしてくる場合は、スクリナーの背後を用いてオープンショットを作ることが出来る。(Shot vs Under)

相手がスイッチ、ないしハードショウを用いてくる場合は、ハンドオフをキャンセルして、ハンドラーがそのままペネトレイトすることが推奨される。(DHO Through)

また、DHOで手渡した瞬間に逆方向にボールスクリーンをかけるというオプションもある。相手がタイトに守ってDHOのギャップを潰しに来たときほど、このオプションは有効となってくる。(DHO-PNR)

DHOに関する推奨・参考リンク

ameblo.jp

 

【追記:2018/3/17】

 

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DHO Invert (Inverted Ballscreen)は、DHOと見せかけて、DHOレシーバーがボールスクリーンをかけ、DHOハンドラーがそのままドライブするオプションである。x1(1のDF)は1が普通にレシーブすると思っていてカバーポジションを取っていないし、x5は5のレシーバー(1)へのカバーや5のDHO Throughに注意しているためあっさりとボールスクリーンにかかりやすい。意表を突く形で、5のドライブが発生することになる。

1がx1に対して、Screen your own man気味にスクリーンをセットするという手法もある。

参考動画は以下。

www.youtube.com

 

 

【追記:2018/12/4】

スキルメモ(スクリーンを掴む、ハンズオフの基本スキルとしてのレッグスルービハインドetc)で紹介した通り、レッグスルービハインド・パスも、DHOの基本オプションに入ってくる。詳しくは当該記事を参照していただきたい。

 

以上。

 

 

 

”45 Go" / "Chicago" DHOシリーズ / その他注目セット

今回は、またしてもPICKANDPOP.netから、オフェンス関係の記事を紹介していく。

 

 

"45 Go"

pickandpop.net

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"45 Go"は、上図通り、(5のスクリーンを貰って)4がピック&スリップポップ、続いて5がPNRを仕掛けるオフェンス。

ポップする4を十全にケアする場合は、DF側から見れば1/5 PNRに対するローテーションの頭数が不足し、一方OF側から見ればスペースが広がることになる。(コンセプト的にはCelticsのStack Exitに近いものがあるかもしれない)

Thunderの45 Goは極めてシンプルな形だが、他の45 Goの形も紹介されている。

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上記はRocketsのPoint 2から45 Goに展開する形。4がポップした側のコーナーがClearになっており、5へのローテーションが困難になっているのが特徴である。2、3があえて『悪いスペーシング』を取って、1/5 PNRのスペースを確保しようとしているところもミソだ。

 

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こちらは、Zipperから45 Goに展開する形(35 Goになってないか? と思うかもしれないが気にしてはいけない)

Thunderの45 Goに比べると、各プレーヤーの移動が大きく、DFローテーションに対してストレスがかかる構造になっている。

 

 

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"Chicago" DHOシリーズ

pickandpop.net

www.youtube.com

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ElbowエントリーからPindown+DHOに移行するアクション。

このアクションは特に"Chicago"ないし、"Chicago play"と呼ばれて、多くのチームで採用されるようになった。

Chicago DHOの派生形は以下の通り。

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Chicago Flipは、トップでのハンドオフ&リターン(Flip)を経由してからElbowエントリーし、Chicago playに移行…と見せかけて、5/4のDHOを行うというプレー。(動画内では5は全くロールインしていないが、ここでロールインされたり、ロールインへのアングルチェンジ・パスを狙われたりすると厄介かもしれない)

Chicago Flareは、4→3 Pindownと見せかけた3→4 Flareで、その後FlareスクリナーがDHOに向かうという構造になっており、かなり意表を突けるパターンだろう。

 

先述したように、この"Chicago"アクションは他のチームでも運用されており、紹介記事内の動画でも一部まとめられている。(下の図はCelticsの運用例。)

www.youtube.com

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また、ボストン大学の"Chicago"運用も巧みだったので、この場を借りて紹介しておきたい。

www.youtube.com

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目まぐるしいポジションチェンジを伴うChicago playであり、最後の5/3 DHOをローテーションの混乱なくきっちりと守り切るのはそう簡単ではない。

 

Chicago playの他のバリエーションとしては、その前半段階であるPindownにおけるSlipムーブがある。以下はその一例。

 

 

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その他注目セット

pickandpop.net

pickandpop.net

上記2記事で紹介されているセットから、特に私の目を惹いたものを抜粋していく。

 

 

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先述の45 Goに似た形から、Hammerに移行するオフェンス。

Hammerスクリナーもポップアウトするため、①Hammerユーザーの3 ②Hammerスクリナーの4 ③ボールサイド・ウィングにリプレースした2 と狙い所の豊富なセットとなっている。

 

www.youtube.com

 

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Zipper PNRと見せかけてキャンセル&スリップアウトし、元のサイドでSpain P&Rを行うセット。

動画内のチームはあまりうまく使いこなせていないように見えるが(失礼)、2→4→5や2→1→5といったアングルチェンジ・パスが狙えるほか、ロールインする5のケアをx3(3のDF)が行いがちな分、3へのスキップパスも狙いやすくなっている。

 

 

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5→2のStackエントリーから、5→1Rip、5Popからの5/3DHO、3/4DHO→4/5PNRという形。いわゆるWeaveからPNRへ展開するプレー。

まず最初に、5/3DHOのための広いエリアが確保されており、BackdoorやThroughといったオプションが狙える。

次に、DHO+PNRによってボールマンDFとローテーションの双方に強いストレスをかけている。4→2→5のアングルチェンジパスや、3のリプレースからの4→3→5のアングルチェンジパスもあり得るし、5のロールインをx1(1のDF)がケアするなら、1へのスキップパスも見ることが出来る。

 

www.youtube.com

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”Chicago”とヘルプサイドのフレアを組み合わせるムーブ。

x5がChicagoをケアし、x2がローテーションするだろうというDFの行動を予測し、それを突いたアクション。

 

 

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Zipperから、Veer(ボールスクリナーがすぐさまオフボールスクリーンに向かうプレー)とHammerを組み合わせたアクション。

コーナーとウィングのリプレースの両方でオープンショットが狙える技ありのセット。

 

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2のIverson Cut(AI)、3がスイングすると見せかけてヘルプサイドウィングにリプレース、その後の1/5 PNRに対し4がボールサイドウィングへリプレースといった手の込んだオフボールムーブによって、1/5PNRに対するローテーションが困難となっているセット。動画内でも、ロールマンの5とヘルプサイドウイングの3がオープンとなっており、守り辛さが窺える。

 

 

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5→3のスクリーン、4のダイブから、4→2 Ripを囮にして4がSlip inする。見事の一言。

 

 

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2-3ゾーンに対し、トップでのDHOにFlareを組み合わせ、さらにそのFlareスクリナーのスリップも狙ったもの。

スリップにスムーズに入った場合は、ペイントで即座にアウトナンバーが出来るのが一番の魅力。

 

以上。

 

 

オフェンス・セット紹介リンク

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フレッド・ホイバーグ(現ブルズHC)/ マーク・ヒュー(ゴンザガ大HC)のクリニック・ノート …オフェンスシステム、トランジション、P&R判断……

またしても、PICKANDPOP.netから、クリニック・ノートを取り上げる。

過去のクリニック・ノート紹介は以下の通り。

mbtr.hatenablog.com

 

今回は、フレッド・ホイバーグとマーク・ヒューの二つのクリニック・ノートを取り上げる。

 

フレッド・ホイバーグ(現ブルズHC)のクリニック・ノート  (オフェンスシステム、トランジション、セカンダリーブレイク)

pickandpop.net

 

このノートにメモされているホイバーグの主張を要約していこう。

 

オフェンスシステムについて

・オフェンスシステムは、各プレーヤーの個人能力に応じたものに変革していくべきだ――したがって、プレーヤーの代替わりに応じて年々変革していく必要がある。

・各オフェンスにあたって、各マークの個人能力のミスマッチを発見し、それを攻めるべき。

・コーチは、迅速(fast)なプレーを求めるだけでなく、各プレーを毎日分解(break)する努力を行うべき。

・ボールスクリーンやDHOは、カバーを1人減らすことになるので守りづらい。

・ボールスクリーンやDHOによって、2人のDFに1人を守らせる。

・同じサイドに2人のベストプレーヤーを置き、2人にツーメンゲーム(ボールスクリーンorDHO)を行わせる。

・ある特定のアクションを本当に好むなら、同じアクションを複数の異なるセットに組み込んでみるべき。

 

 

トランジションについて

トランジションにおける役割は以下の通り

5番=リムに走り込んで、マークマンを打ち倒す(beat your man down the floor)。

4番=リバウンドに向かう。

(4番/5番は相互に役割を交代可能)

2番/3番=指定された走行レーンはない(引用者註:平行に走っても良いし、クロスしても良いだろう)が、コーナー深くまで走り込む必要がある。それによってポイントガードのスペースが生まれる。もしウィングで立ち止まったら、PGのドライブレーンが混雑してしまう。もし1番がマークマンを抜けば、x2(2番のDF)やx3(3番のDF)はヘルプ(ローテーション)せざるを得なくなり、ワイドオープン・コーナー3Pが生まれる。

トランジションで第一にすることは、セカンダリーブレイクに入る前に、素早く得点できるようDFをよく観察することだ。

・我々は、DFがセットされる前にトランジション3Pを打つことを非常に良く好む。

・我々はまた、トランジションにおけるDragプレー(=ボールスクリーン)を好む。それは即座にディフェンスへ圧力をかける。

トランジションでウィングにボールが入ったとき、インサイドのビッグマンがシールしているかどうかをよく見ておかなくてはいけない。――そうでないなら、ビッグマンを走らせる意味がない。

 

セカンダリーブレイクについて

ホイバーグは、数種類のセカンダリーブレイクを紹介している。それぞれ簡潔に解説していこう。

 

1. Power

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Powerは、5→2 クロススクリーンによってx5(5番DF)にヘルプを強制し、5のPost upにスムーズに入れるコンセプト。x3が2をケアしてくるようなら、4→3→2のコーナー・ローを狙える構造になっていることにも注意すると良いだろう。

 

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Powerに合わせつつサイドチェンジを行い、UCLA→Pop outから、PNRに移るコンセプト。2/5 PNRから、2→4→5や2→3→5のアングルチェンジ・パスが狙える構造になっているのも面白い。

 

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サイドチェンジをキャンセルし、4/1 DHOから4&5→2のStaggerに移行するアクション。(発展形としては、2/4 PNR + 5→3 Hammerといった展開があり得るだろう。)

また、ボールサイドのケアが強まる場合は、ヘルプサイドの3を経由して5のPostを利用する、というCounterが用意されている。

 

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Stagger Counterの変形じみた形で、4/1 DHOから3にサイドチェンジし、5&2→4 Ripで、4のPostにボールを入れる。Stagger系を警戒していると虚を突かれる形となっている。

 

 

2. Swing

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Motion weakと構造は同じ。Counterとして、1のbackdoor(裏では3のカットアウト)が用意されている。

 

3. Reverse

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ヘルプサイドでのDHOから、STS、ないしRipを狙うプレー。

 

4. Baseline Double

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Floppyアクションに酷似する形。アウトサイドでスイッチが生じた場合、4or5がオープンになり得るところは見逃せない。Hammerアクションへの展開もあり得るだろう。

 

5. Trailer

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ドリブルエントリーから、UCLAandPop→2/5 PNR、ないしUCLA→1/4 PNR(Wedge Roll)に移行する形。トップの4へのディナイが試みられるシチュエーションで特に有効になるかもしれない。

 

6.Wide Pin

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トップの4がヘルプサイドへPindownをかける形。これも、トップ4へのディナイが厳しいときのバリエーションの一つになるだろう。(4/1 DHOの場合は、4がRoll inし、5がLift(トップ方向へリプレース)する)

もちろん、素直に3がレシーブして、3と4でCurl Pickすることも十分パターンとして考えられるだろう。

 

 

――――――――――――――――――

マーク・ヒュー(ゴンザガ大HC)のクリニック・ノート

pickandpop.net

 

トランジションについて 

・良いショットクリエイトのためには、ボールプッシュは早いに越したことがない。

ショットクロックの早い段階の方が、遅い段階よりも良いショットを作りやすい。

トランジション3Pは、DFがセットされていない分、容易にオフェンスリバウンドを取りやすい。

インサイドアウトは、ファールを誘いやすく優れたプレー。

トランジションでショットを作れなかったら、ボールムーブメントやオフボールムーブに切り替える。

 

 

P&Rにおける”読み”

・我々は、P&Rのブレークダウンに多大な時間を割き、P&RにおけるDFの動きへの”読みreads”を鍛えている。

・良いスペーシングによって、ハンドラーの視界が良好になり、ハンドラーの判断が向上する。

・ハンドラーは、P&Rに際して『予め判断する』ということはしてはならない。

・誰がロールをケアしているのかが最重要。

・誰もハンドラーを止めに来ないなら、ハンドラーはスコアを狙う。

・ハンドラーが作れる最良の展開は、自分に2人のDFを引き付けること。

・ハンドラーたちの”読み”を鍛えるにはフィルム(動画)が有効。

 

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・上図のサイドピックにおける1-4スイッチに対しては、スイッチさせてから元の位置(ウィング)に戻り、ミスマッチでのPostを狙う。ヘルプサイドのビッグマンはトップに上がって、ハイロープレーに備える。

 

・ゲームでは、相手のDFに注目する。―ポストのボールが入ったときのDF、サイドピックに対するDF、ミドルピックに対するDF…。

・どんな種類のトラップに対しても、スリップムーブで対処するのを好む(その際、ヘルプサイドのビッグマンは即座にトップへとliftする)。

・ボールスクリーンは夕焼けと同じで、多種多様であり、ピックの前に”決めつけ”を行ってはいけない。—―自身でスコアを狙うか、ビッグマンに入れるか、入れるとしてどのように入れるか……。

・vsハードショウ: 即座にパスを見る。

・vs平行なショウ(lateral show): ビッグマンにパスを出す(orシュート)か、ショウに出てきたビッグマンを遅れて攻める(orロールにヘルプして来た方のコーナーにキックアウト)

・ショウDFの躊躇は、ハンドラーにスプリットする自由を与える(低頻度のプレーだが、実行できる能力を備えれば強力な武器になる)。

・vsICE: サイドラインに押し込められてはならない。ミドル方向にいくための手段としては、ボールスクリーンの方向をフラットに変更(flip)し、ハンドラーがスネークドリブルを試みるというものがある。

 

オフェンスシステムについて

・我々は、ポストにボールを入れ、ダブルチームを誘い、オフボールのプレーヤーで攻めるコンセプトを好む。

・ゾーンアタックで有効なのはコンセプトを持ったプレーをプレーヤーに求めることであり、フォーメーションはそのための枠組みに過ぎない。

・P&Rにおいて、ビッグマンは、パスを信じてロールしなくてはならない。また、ビッグマンが完全にオープンになるときは、たいていパスするには手遅れである。

 

1. "Bulldog"とその派生

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UCLA→PNRからサイドチェンジ、バックドア、PNR+lift (by big) 、以下繰り返し、といった具合にボールスクリーンプレーを繰り返すアクション。

トップのビッグマンを介したアングルチェンジ・ハイローが特にねらい目。また、5のロールインに対してヘルプサイドコーナーDFのx1がケアしてくるようなら、即座に4→1のスキップパスを狙う。

これを基本形として、以下に示す様々な派生形へと発展する。

 

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UCLA→PNR、サイドチェンジ、バックドア、PNRから、Floppyアクションに移行。

 

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UCLA→PNR、サイドチェンジから、PNRではなく、元のサイドへドリブルしてインサイドのビッグマン(5)にボールを入れる。

 

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UCLA→PNR、サイドチェンジから、Rip&STS-Staggerを組み合わせるアクション。5のポストアップと、3の3P or Chase PNRを狙う。

 

2. "Loop"シリーズ

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Zipper PNRの2形態。

2-3ゾーンのアタッキングに有効。

(1にx1が付く関係上、2にx2が付かざるを得ず、ボールスクリーンでx2がはがされてしまうと、2、5、3をx5とx3の二人で守らなくてはいけなくなる。)

 

以上。

 

 

関連リンク

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